モードの革命児・ディオールの感性を育んだ、ノルマンディーの家。

15歳のクリスチャンが設計したという「庭のサロン」。中央には噴水 「水の鏡」そして蔓棚を配した。

《北フランスのモナコ》の異名をとる風光明媚なグランヴィルは、19世紀末から富裕層に人気の避暑地となっていた。母・マドレーヌはこの3階建ての大きな館をベルエポック調の住まいにし、クリスチャンと共に草花を愛で、庭づくりに采を採った。庭にあった温室を撤去して、「庭のサロン」として蔓棚を作りテッセンや蔓バラを這わせ、噴水のある四角い池をデザインしたのはクリスチャンだった。

庭にはさまざまなバラの香りが漂う。

「冬の庭」と呼ばれる1階のサンルーム。母は植物を沢山置いた。クリスチャンは 「パリに居を構える時、まず家にサンルームがあるかどうかを確かめた」という。

2階に両親と祖母、5人の姉妹兄弟全員の部屋があったのだが、クリスチャンがこの家で一番好きだった部屋は、3階の海側にあるlingerieと呼ばれる部屋だった。そこに行くとお手伝いさんや縫い子さんたちが悪魔の話をしてくれたり、わらべ歌や子守唄を歌ってくれ、クリスチャンはランプの灯りで彼女たちが裁縫するのを夜が更けても眺めていたという。

海側の出入口。ここから小径を下ると海に出られるようになっている。

ディオール一家は家を買った5年後にパリに引っ越したので、住んだのは5年ほどだが、世界大恐慌の影響で31年にこの家を手放すまでは、別荘として定期的に訪れた。

「両親がパリに住むことを決めたために、私は5歳の時、このように甘くゆったりとした地方の生活から突如引き離されたのです。私の幼少期は、嵐の晩、霧笛の音、葬式の教会の鐘の音、ノルマンディーの霧雨のなかで育まれました。それらすべてが懐かしい」、さらに「私の人生、スタイル、ほぼすべてのものが、あの家の立地と建築に負うものです」と、自伝『クリスチャン・ディオールと私』のなかで綴っている。

ディオール家が手放したあと、1938年にグランヴィル市の所有となり、97年にはクリスチャン・ディオール美術館となった。

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Musée Christian Dior Granville

Adresse : 1 rue d'Estouteville, 50400 Granville
TEL : 02.3361.4821
URL : www.musee-dior-granville.com

 

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