Aquarium Tropical
ヴァンセンヌの森を臨むアールデコ様式のポルト・ドレ宮。1931年に植民地万国博覧会の会場として建てられた。植民地万国博覧会自体は、今から振り返れば、白人優位主義を前面に押し出し、植民地政策を正当化するフランスの黒い歴史。
まるでその罪滅ぼしのように2007年に同宮殿内に移民史博物館がオープンしている。だが今回は、子供と楽しめる地下のトロピカル水族館に注目したい。この宮殿建立時から存在する老舗で、ちょうどこの4月にリニューアルされたばかりだ。
階段を下りると84の水槽に750種・ 1万5千匹の海の生物が来場者をお出迎え。広くはないが魚の種類の豊富さが自慢。ツノを持つテングハギ、お洒落な豹柄のヒョウモンオトメエイ、豚鼻が可愛いスッポンモドキなど、個性あふれる海の住人でいっぱい。ワニが水に打たれる姿はさながら滝行者のよう。
パリには16区のトロカデロにも水族館がある。 両者の違いは ? スタッフによると、「娯楽的なトロカデロに対し、こちらは教育的な側面が強い。今回のリニューアルでもわかりやすい表示を心がけた。それにこちらは入場料が半分!(笑)」とのことだ。たしかに水槽の上には魚のサイズや生育地や水深、豆知識がわかりやすく表示されている。また、「産む」「食べる」「住む」「(外敵から)守る」の4つのテーマで生態の秘密に迫るルートも設定。背の低い子のために見学用の足場も新たに設置した。アトリエやガイドツアーを実施する他、公式サイトでは教育的な配慮に基づく資料を多数掲載する。
リニューアルでも派手な装飾やイベントに走らず、落ち着いた雰囲気のなか、魚たちにしっかり向き合い、自然環境や種の習性、生態の理解を促すことに努める。そんな生真面目な姿勢に好感が持てる。(瑞)
Aquarium Tropical de la Porte Dorée
Adresse : Palais de la Porte Dorée, 293 av. Daumesnil, 75012 ParisTEL : 01.5359.5860
アクセス : M°Porte Dorée
URL : www.aquarium-tropical.fr
火~金10h-17h30、土日10h-19h。月休。5€/3.5€ (企画展開催時は2€増)。