日・仏撮り鉄事情
日本では、有名撮影地点は雑誌やSNSで撮り方やアクセスなどこと細かに解説され、何十人も並んで撮ることはザラ。ホームや道路に三脚や脚立を立てたり、田んぼのあぜ道を何十人もが歩いたり、挙句の果ては山で視界を確保するため樹木を伐採したり、怒った地元民が立入禁止にしたり、わずかなモラルを守れない人のために「撮り鉄」がちょっとした社会問題になったりしています。
一方、フランスでは「撮り鉄人口」が少ない上に、多くの人は珍しい車両や廃車回送列車など特殊列車に関心が高いようで、中央山塊などでは雑誌でちょっと知れた撮影ポイントでも “同業者”には殆ど会いません。撮り鉄指南書もない代わりに、書籍や鉄道雑誌などで気に入った作品があると、およその場所は分かるので地名などをメモして、地図で調べたり現地で確認したりします。この方法だと、時間がかかる一方で、自分のお気に入りの場所が見つかった時の喜びはひとしおです。
撮り鉄の方法
駅やメトロの高架橋など、身近な場所でも意外な発見があります。ただしスマホだと、動く被写体や遠くをズームで引くのも限界があるので、どうしても一眼レフのカメラが欲しくなります。価格もピンキリありますが、初めてならビギナーズ仕様で充分です。ぼくも普及モデルにレンズメーカーのズームレンズを使っています。
ここでは主に鉄道でも行ける場所を説明していますが、お気に入りの場所は駅から遠く不便なところも多いので、クルマ利用が増えるのも事実。食料も積み、車中泊する場合は寝袋なども必須。
印象派のシスレーが住居を構えるまでに愛したモレ・シュル・ロワンの街と次のサンマメの駅の間にかかる鉄橋は画家自身も題材に取り入れていて当時を偲べる風景が残っています。
地中海沿岸のサン・ラファエル=カンヌ間のアンテオールのアーチ橋は古い鉄道会社のポスターにも登場する有名な撮影ポイント。近くにローカル駅や宿泊施設もあります。
おや、日本からお越しの鉄友 志水さんの姿も。モネルヴィルやボワソー、アルトネなど畑の中の小駅が便利ですが、停車列車が少なく、トイレや店舗もなく帰りの列車に要注意!
ボワ・ル・ロワ(Bois-le-Roi)駅からフォンテーヌブロー駅へ向かって線路沿いの小径を歩いていると森の中を走り抜けてゆく電車が撮れます。
パリ、サンラザール駅と次のポン・カルディネ駅の間は切通し区間でパリらしい光景がスマホでも撮れます。