
子どもたちは肩車をしてもらって、ステージやスクリーンのエムバペを見つめ、歓声を上げていた。
ファンは、キリアンは「謙虚」「寛大」と、誉め言葉を惜しまない。スポンサーのナイキを通じて自ら幼少期に遊んた広場をミニサッカー場に整備したり、Tシャツやボールを寄付したり、クラブの子どもたちがロシアでワールドカップを観戦できるよう旅費を一部負担したり。W杯優勝の手当は全額、障害児にスポーツを楽しませる地元の市民団体に寄付した。
アルジェリア人の移民家庭に生まれた母親のファイザさんはかつてハンドボールの選手、カメルーン出身の父親もその弟もサッカー指導者。キリアンが産まれた翌年に両親がザイール(今のコンゴ民主共和国)から養子に迎えたジレス・ケンボ・エココも、ASボンディからプロ選手になり、現在トルコでプレーする。
10月、アメリカのタイム誌国際版はエムバペを表紙に掲げたが、同誌のインタビューでも「偉大なプレーヤーこそ謙虚で他人への思いやりが大切だと教わった」と語っている。ASボンディは、エムバペはじめプロの選手を30人ほど輩出してきたレベルの高いクラブだが、子どもの生活態度や成績が悪ければプレーさせないそうだ。そんな教育方針もあってクラブには入団希望者が殺到中。指導員や設備の規模から850人以上は無理なので断わっている状況だ。

「次世代のリーダーたち」とタイトルがつけられた、タイム誌国際版。

(写真左から)「息子 (ジネディーヌ君!)は、朝から晩までキリアンのことばかり。試合のたびに家はキリアン祭!彼のように、サッカーがうまく、やさしい人になってほしい」。(写真中央)父「私もサッカーをやっていました。息子にもやらせたかったけれどW杯前は息子はサッカー嫌いでした」息子「決勝戦を観てから大好きになった。僕もクラブに入るんだ!」(写真右)ワレンさん (23歳)15歳のとき、12〜13歳のキリアンと、ここのサッカークラブで一緒だった。サッカーの話ばかりして真面目、でも冗談好きで、かつ大胆なヤツ。
昨年8月末、ASモナコからPSGへの移籍金が1億8000万ユーロ(約230億円)にのぼり、「フランスで2番目に高いプレーヤー」と話題になった。他にも数々の記録を更新し、賞を受けているエムバペは、ヨーロッパの年間最優秀選手に贈られる 「Ballon d’or バロンドール」の受章候補者に挙げられているが、「バロンドールのことを考えると、プレーが自己中心的になりそうだから考えたくない」と言っている。

(写真左から)キリアーン!!/背番号10番ペア。

Stade Leo Lagrange
Adresse : 60 avenue Pasteur , 93140 Bondy , Franceアクセス :
◎RER E Gare de Bondy
パリHaussmann Saint- Lazard駅やMagenta(北駅)からは20分ほど。
◎トラム
Bobigny-Pablo Picasso⑤番線の終着駅から、路面電車T4に乗り、 Pont de Bondy下車。
