睡蓮:アメリカ抽象美術と晩年のモネ

Nymphéas. L’abstraction américaine et le dernier Monet

Philip Guston (1913-1980)  Dial, 1956. Photo : Whitney Museum, N.Y.
© The Estate of Philip Guston, courtesy Hauser & Wirth

 モネは好きだけれど抽象画は苦手という人は多いと思う。そんな人にお勧めなのが本展だ。

 1950年代のアメリカ抽象画へのモネの影響を、作品を比較してわかりやすく解説している。モネは晩年、白内障で目がよく見えなかった。そのせいもあって、対象の輪郭があいまいな絵を多く描いた。

 モネが没した1920年代、時代遅れとなった印象派はフランスの前衛画家たちから顧みられなかった。ところが、50年代になって、新しい美術を模索していたアメリカの若い世代が注目した。批評家たちはジャクソン・ポロックなどの抽象画をモネと比較して論じた。こうして晩年のモネは、アメリカの抽象絵画の先駆者とみなされるようになった。画面の真ん中に色を集めたフィリップ・ガストンの絵にはモネの睡蓮の抒情性がある。マーク・ロスコの単純な色の大画面は、睡蓮を見たときのような瞑想状態に鑑賞者を誘う。ジヴェルニーのそばにアトリエを構えたジョーン・ミッチェルは「心の目に写った自然を描く」と言う。

モネの絵が白内障のせいで抽象的になったというのは単純すぎる。心の目で見るうちに形が解けていったのかもしれない。もっと生きていたら、もっと抽象的になっていたかもしれない。そう思わせる展覧会だ。(羽)

8月20日まで、火休。
オランジュリー美術館 チュイルリー公園内


Musée de l'Orangerie

Adresse : Jardin Tuileries - Place de la Concorde, 75001 Paris , France
TEL : +33 (0)1 44 77 80 07 +33 (0)1 44 50 43 00
火休 09:00 - 18:00