Quo Vadisのダイアリー

madeinfrance_agenda そろそろ来年のダイアリーを、と考える季節だ。私も愛用していたが、フランス人なら一度はクオ・ヴァディス社(Editions Quo Vadis)製品を使ったことのある人がほとんどだろう。というわけで、今回はナント郊外にある、年間800万冊のダイアリーを生産するクオ・ヴァディス社を訪ねることにした。ちなみに、「Quo Vadis」とはラテン語で「君はどこへ行くのか?」という意味。ある日時にどこで何をするのかを教えてくれるダイアリーにはぴったりの名前だ。
クオ・ヴァディスは1952年にフランシス=ジョルジュ・ベルトラミ氏が、白い手帳にスタンプを押して見開きで1週間の予定を見渡せるダイアリーを自分用に作ったことが発端だ。1954年にマルセイユで創業し、2ページに1週間の予定を時間を区切って書き込める「Agenda Planing」を商標登録した。57年からは自社工場で印刷、製本、ビニールカバーの製造を始め、A4に近い大判、ビジネス向きの10×15cm など様々なタイプが作り出されて人気を博した。64年に自由業者向けに開発された1日1ページのダイアリーは、後に中高生が宿題やテスト日などを書き込むために使う9月始まりの 「学校アジャンダ」の前身だ。66年からは他言語版も作られて世界中に輸出されるようになり (日本は70年代後半から)、今では60カ国で販売されている。
ナント郊外カルクフの18,000m2の工場を案内してくれたのは製造部長のクリスチャン・ピラールさん。紙は同グループのノート製造クレールフォンテーヌ社がヴォージュ地方で製造したものを使う。3台の印刷機のなかでも独ハイデルベルグ社製の8色オフセット印刷機は刷版もローラーも紙も外からは見えない巨大な機械だ。グラフィック専門学校でオフセット操作資格を取得したヤニックさんが版を替えたり、機械を調整したりしていた。印刷された紙は、折り、糸綴じ、糊付け (1冊のダイアリーは8~9冊のノートから成る)、スパイラル付けなど、製品のタイプによって様々な工程があり、種々の機械が並んでいる。今製造しているのは、2017年のダイアリーだ。
 カバーを製造する別の建物には、イタリア製のカラフルなポリ塩化ビニル (PVC)の筒がずらりと並んでいた。PVCを熱して折返し部分を 「溶接」したり、ロゴや社名の型押し、端縫いなどの作業では、手作業の工程もかなりある。機械で入れたロゴの出来具合を1枚1枚チェックしている人を見て、丁寧に作っているのだなと思った。
クオ・ヴァディスは1999年に文房具のエグザコンタ=クレールフォンテーヌグループに買収されて今日に至る。全製品は持続的に管理された森林から産出する木材を使用して生産・加工していることを証明する「森林管理認証PEFC」を持ち、環境に配慮した印刷や廃棄物処理に取り組んでいる。
ベルトラミ氏の最初のスタンプ(写真)はクオバディス・ジャパン社の高濱朗子社長がベルトラミ氏から譲り受けて持っている。高濱氏は「バーティカルフォーマット、コーナーのミシン目、今が今年の何週目か、何日目かなどクオバディスが最初に始めた要素が今では多くのメーカーで一般的になっています。60年前にベルトラミ氏が考案したフォーマットがほぼ変わっていないというのがクオバディスの良さ、ブランドの財産なのだと思います」と語ってくれた。(し)

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ロゴの出来上がりと位置を真剣な目でチェックする

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色とりどりのカバー用ビニール

 

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フランシス・ジョルジュ・ベルトラミ氏

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「すべてを自社工場で作り、品質をコントロールできることが強み。」ピラールさん (勤続31年)

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ベルトラミ氏の最初のスタンプ

 

http://quovadis.eu/
www.quovadis.co.jp/