まるで風が運んできたような人たちを撮った映画。 

●ブリュノ・ルジャン監督インタビュー
 ラ・ロシェルの映画祭はシネフィル巡礼スポットの一つ。今夏ここで激賞された作品が『Les Fils du Vent(風の息子たち)』。巨匠ジャンゴ・ラインハルトの直系の息子ともいうべき、4人のロマ人ミュージシャンを追ったドキュメンタリーだ。  
 プロ意識高きアンジェロ、伊達男モレノ、オープンマインドのニニン、天性の詩人チャヴォロ。彼らは今日もどこかで、ギター片手にスイングのリズムを奏で続ける。10月10日の劇場公開を前にブリュノ・ルジャン監督に話を聞いた。
『Les Fils du Vent』というタイトルは?
 モレノがよく歌う曲の名前から取りました。居住場所を変え生活をするロマ人は、まるで風が運んできたような人たち。捉えにくく神秘的な存在です。撮影は苦労しました。プロデューサーは何度も変わり、完成まで8年かかりました。「彼らの秘密を捉えるのは不可能かも」と、何度も完成を危ぶみました。
カメラはロマ人の共同体によく溶け込んでいますが…
 撮影した映像を見せて信頼を勝ち取っていきました。ロマ人ファミリーの絆(きずな)はとりわけ強め。中に入るのは簡単ではありません。彼らは歴史的に虐げられてきたから、グループ内で助け合う必要もあったのでしょう。ロマ人は泥棒が多い、などといわれるけど、本作を見てもらったら、観客が彼らのことを好きになり、先入観を払拭してほしい。
昨今、マヌーシュジャズの人気が高いですね
 陽気さや親密さ、言葉を超えた雄弁さ、奥深い演奏技術などが魅力のようです。本作でも登場するサモワ・シュル・セーヌのジャズ・フェスティバルは毎年大盛況!  サンセヴェリーノやトマ・デュトロンらフランス人ミュージシャンの活躍も大衆化に寄与しました。実は彼らのインタービューも撮りましたが、結局使いませんでした。マヌーシュジャズの神髄に迫りたい本作に、観客を釣るための甘い砂糖は必要ないと思ったからです。生のマヌーシュジャズを聞きたい?それならばサントゥアンの〈La Chope des Puces〉、パリの〈Aux Petits joueurs〉や〈L’Atelier Charonne〉に行ってみて。映画の主役たちが演奏しています。(聞き手:瑞)
© Zelig Films  Distribution

© Zelig Films Distribution


Les Fils du Vent