Hachis parmentier
息子カップルが食べにきてくれたので、 子羊のもも肉をロースト。ところが、オーブンのタイマーをうっかり40分ほど余計に合わせるという大失敗。芯はまだロゼで食べられたが、外側は焼きすぎで固くパサパサ、ちっともうまくない。そこでくじけてはいけない。その外側のところをとっておき、アシ・パルマンティエにするという手がある。そのうえ、生のひき肉より、すでに煮たり焼いたりした肉をひいて使う方がうまくなるのだ。
まず子羊肉を小さく切り分け、ブレンダーでひく。約400グラムあった。マッシュポテトは、簡便にインスタントの粉末を利用した。鍋に牛乳と水をとり、沸騰してきたら火からおろし、少々待ってからマッシュポテトの粉末を一気に加える。さっと混ぜ合わせ、ふたをして3分待ったら、バターと牛乳少々を加えて混ぜ合わせる。軽く塩、コショウ、ナツメグ少々をおろして加え入れればでき上がりだ。
玉ネギとニンニクを細かくみじんに切る。ソトゥーズやフライパンにバター少々をとって弱火にかける。バターがとけたら玉ネギとニンニクを加え、玉ネギが透きとおってきたら、子羊肉を加え、少し火を強くし、ブイヨンを注いで混ぜ合わせる。グツグツといったら、再び火を弱くし、ふたをして25分ほど火を通すと、ブイヨンを吸った肉はすっかり柔らかくなっている。塩とコショウで味を調え、きざんだパセリを混ぜ入れる。このへんでオーブンの目盛りを200℃に合わせて点火。
20×25センチほどのオーブン皿にバターを塗り、まずひき肉を敷く。それがすっかりかぶるように、慎重にマッシュポテトでおおう。おろしチーズときめの細かいパン粉を混ぜ合わせてマッシュポテトをまんべんなくおおい、熱くなっているオーブンに入れ、10分ほどできれいな焼き色がついたらでき上がりだ。グリーンサラダをたっぷり添え、ふーふーいいながら味わいたいビストロの定番料理。ワインはボージョレなどの軽めの赤かな。(真)
4人分:子羊のひき肉400g前後、玉ネギ1個、ニンニク1片、ブイヨン400cc(水400ccにビーフやチキンのブイヨンのキューブ半個)、おろしチーズ60グラム、チーズと同量のパン粉chapelure、パセリ適量、バター、塩、コショウ
マッシュポテト:インスタントの粉末1袋130g、牛乳500㏄、水250cc、バター大さじ2、3杯、 ナツメグ少々、塩、コショウ
Hachis parmentier
細かくきざんだり、ひいたりした肉のことをhachisというのだが、これをブイヨンやソースで味つけしてからマッシュポテトでおおってグラタンにすればアシ・パルマンティエ。ポトフなどで残った牛肉を使うのが一般的だが、鶏肉や七面鳥、子羊肉や子牛肉のローストの残りをひいても、おいしくできる。あとは今回のレシピに従ってグラタンにするだけ。トマトペースト少々、あるいはカレー粉やエスプレット産唐辛子少々を混ぜ入れて味に変化をつけてもいい。自分の好みのアシ・パルマンティエをいろいろと工夫してみよう。
Antoine-Augustin Parmentier
農学、栄養学の大家アントワーヌ・パルマンティエは、フランスでは動物のエサとしか考えられていなかったジャガイモの栄養価に早くから注目していた。
干ばつのあった翌年の1786年にパリ郊外のサブロン庭園の管理をまかされ、ジャガイモの栽培と普及に力を入れる。サブロン庭園にはわざと夜警をおかず、空腹のパリの住民たちにジャガイモを盗まれるがままにさせたという。hachis parmentier、potage parmentier、omelette parmentièreなど、ジャガイモが入ると 「パルマンティエ」の名前がつくことが多い。
Purée de pommes de terre instantanée
マッシュ・ポテトは時間がなかったら、インスタントの粉末を使ってもなかなかおいしくできるものだ。銘柄によって一袋の分量が違っていて、牛乳や水の量も変わってくるので、確認すること。左のレシピでは、パッケージに書いてある作り方より、味がよくなるように牛乳の割り合いを多くしてある。また粉末に少量の塩が含まれていることも多いので、でき上がったマッシュを味見してから、塩味を調えることが大切だ。バターを少なめにして生クリームを加えるのも悪くない。自家製よりもなめらかに仕上がるのも長所。