Boulettes d’agneau grillées
トルコレストランの、子羊の挽き肉を串焼きにしたアダナadana、マグレブ系レストランの、ケフタkeftaという子羊肉の団子が入ったタジンなど、適度に脂がのった子羊肉のおいしさは病みつきになりそう。今回はそのケフタを作ってグリルです。
骨なしの子羊の肩肉を買って挽いてもらうのだが、脂身が多いから嫌がる肉屋もある。そういえば豚肉も挽いてくれないことがほとんどだ。そこで小さめに切り分けてもらった肉を自分で挽くことになるのだが、フードプロセッサーを持ってない人は、この際、高いものではないので挽き肉専用に1台買っておくと、いろいろと重宝する。
食パンの耳を切りはずしてからさいの目に切ってボウルにとる。玉ネギもみじんに切って加えるのだが、肉団子が調理中にくずれないようにできるだけ細かくみじんにしたい。ここへ卵を割り入れ、混ぜ合わせ、数分たったら挽き肉とスパイス、ハーブを加えて、塩、コショウ。
そのスパイス、ハーブだが、スパイスは、クミンパウダー、パプリカ、唐辛子粉、マグレブ圏や中近東のミックススパイスras el-hanout(コラム参照)など。ハーブは、それぞれみじんに切ったパセリ、コリアンダーの葉、ミントの葉。
以上を手でまんべんなく混ぜ合わせる。
このへんで付け合わせ用のひき割り麦ブルグルboulgour(858号参照)をゆではじめ、トマトサラダなどを用意する。
ミックスされた挽き肉を、団子というよりは小ぶりのハンバーグという形にまとめるのだが、手のひらを水で濡らしながらやると肉がくっつかない。あとはきれいな焼き色がつくまで焼くだけだ。炭火ならベストだが、オーブンの上火でグリルしても、薄く油を敷いて強火にかけたフライパンで焼いてもおいしくできる。牛肉とは違った子羊肉の豊かな味わいを満喫したい。好みではトマトソースを添えてもいいだろう。
ワインは、グリとも呼ばれるモロッコ産のロゼ、たとえばBoulaouaneがあったらぴったりだ。(真)
4人分:子羊の肩肉600~800g、玉ネギ小1個、卵1個、食パン1枚、クミンパウダーとパプリカ各小さじ1杯、唐辛子粉少々、ras-el-hanout適量、みじんに切ったパセリ、コリアンダーの葉、ミントの葉適量、塩、コショウ
Épaule d’agneau
子羊肉を使って、野菜と煮込んでナヴァランにしたりインド風にカレーというときは、今回のケフタにも使った肩肉がいい。脂身が混じり込んでいるので長時間煮込んでもぱさぱさしない。すでに骨がはずしてあるものを適当な大きさに切ってもらうのだが、家に持ち帰ったら、余分な脂を切りとった方がいいだろう。子羊肉のローストといえばもも肉gigot が定番だが、肩肉の丸ごとローストも絶品。肉屋に「Enlevez la palette s.v.p.」と頼んで、肩甲骨をはずしてもらうことを忘れないように。もも肉より値段も安め。
Hachoir électrique
1960年にフランスで考案されたというフードプロセッサーは、固形の食材をきざんだり、くだいたり、挽いたりする道具。野菜をみじんに切ったり、各種の肉を挽いたり、エビや魚のすり身を作ったりするときに欠かせない。均等に挽くためには、あらかじめ材料を小さく切り分けておいた方がいいし、量が多いときは何回かに分けて作業することになる。洗うときは刃が鋭いので要注意。ミキサーと違って野菜や果物をスープ状あるいはジュース状にすることはできない。出力500Wくらいのものがほしい。30ユーロ~。
Ras-el-hanout
ラスエルハヌットは、主にマグレブ圏料理の、クスクスやタジン、スープやさまざまな詰め物に入るミックススパイスだ。朝市に各種スパイスの粉末を売っている店があれば、客の「クミンを多めに」などの注文をききながら、コリアンダー、クミン、シナモン、カルダモン、ナツメグ、ターメリック、ショウガなどを混ぜ合わせつつ即座に調合してくれる。アラブ系食材店に行けばあらかじめ調合された袋入りが手に入るし、最近はスーパーでも瓶入りなどが市販されているので、アラブ料理に挑戦したい人には欠かせないものになるだろう。