【Expo】Wes Anderson展


「最もフランス的なアメリカ人監督」と称されるウェス・アンダーソン初の展覧会がパリで開催中だ。今回はシネマテーク・フランセーズとロンドンのデザイン・ミュージアムとの共同企画。5月28日に公開の新作『The Phoenician Scheme』(カンヌ映画祭に選ばれるだろう)を待つ間、愉快で人工的、詩的で郷愁を誘うアンダーソンの世界と戯れよう。

1969年にテキサスで生まれたアンダーソンは、父親の8ミリカメラで短編映画を作り始めた。大学ではオーウェン・ウィルソンと出会い映画仲間に。
会場には監督の若き日のポートレートが飾られるが、まだ普通のイケメン風で初々しい。1996年から続くアイデアノートの展示は圧巻。現在まで同じノートを使い続けている所に、彼の作品に通じる偏執的なこだわりも感じる。
展示は6つのテーマを軸に2作品ずつをまとめて紹介。アンダーソン作品はシンメトリックな絵作りが特徴だが、フィルモグラフィーもまた合わせ鏡のように発展してきた。

1「Les Débuts」は初期の『アンソニーのハッピー・モーテル』(1996)と『天才マックスの世界』(1998)。
2 「Familles d’Artistes」は家族映画の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)と 『ライフ・アクアティック』(2004)。
3 「Voyages」は通過儀礼の旅である『ダージリン急行』(2007)と『ムーンライズ・キングダム』(2012)。

4「Stop-Motion」はストップモーション・アニメの『ファンタスティック Mr.FOX』(2009)と『犬ヶ島』(2018)。
5 「Fresques Européennes」は架空のヨーロッパの街が舞台の『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)と『フレンチ・ディスパッチ』(2021)。
6「Sur Scène」はアメリカに戻って芝居の舞台裏を描く『アステロイド・シティ』(2023)。こちらは新作とペアになるのだろうか。

会場は衣装や小道具など貴重な一点物が美術品のように贅沢に並ぶ。キューブリックと同様、アンダーソンは小道具を全部残すという。映画の展覧会にこれほどふさわしい人物もいないだろう。衣装デザイナーのミレーナ・カノネロ、ミニチュア制作者のシモン・ヴァイスなど、監督の世界観を裏から支える職人の仕事にも光が当たる。展示はパリで開催後ロンドンへ移る。(瑞)


▶ Wes Anderson展 (7/27まで)
Cinémathèque Française : 51 rue de Bercy 12e
M° Bercy 展覧会 14€/11€/17歳以下7€。
12h-19h (土日11h-20h)火休。
www.cinematheque.fr

Cinémathèque Française
Adresse : 51 rue de Bercy, 75012 Parisアクセス : M° Bercy
URL : https://www.cinematheque.fr
展覧会 14€/11€/17歳以下7€。 12h-19h (土日11h-20h)火休。
