この夏、ユネスコの世界遺産に登録されたコルドゥアンの灯台。「灯台の王様、王様の灯台」、「海のヴェルサイユ」などと称されるジロンド河の河口に1611年に完成した灯台は、400年以上にもわたって、大西洋からジロンド河を経てボルドー港へ航行する船を導いてきた。
その灯台を見たら今度は、どこかおいしいものを食べ・飲みに、寄り道をしよう。
メドックの、おいしい寄り道。
Château du Tertre
メドックのローカル電車は駅名が魅惑的だ。「マルゴー」とか「ポイヤック」とか、フランスきっての銘酒の産地名(アペラシオン)が小さな駅についていて、飲んでみたい欲を刺激してくる。せっかくの機会だからボルドーワイン委員会にお願いして、試飲できる醸造所を紹介してもらった。
「マルゴー」を名乗れるのは、5つの村(マルゴー、スッサン、カントナック、ラバルド、アルサック)の特定の畑で作られたワインのみ。そのうちアルサック村の 「シャトー・デュ・テルトル」をすすめてくれた。
1855年パリ万博の際にナポレオン3世の要請で定められた「メドック格付け」に選ばれた61のシャトーのひとつで、第5級。12世紀頃からこの一帯の領主だったアルサック家を起源とし、16世紀には思想家モンテーニュの弟トマが、領主の娘と結婚して城主になったという歴史もある。標高38m、マルゴーの畑のなかでも一番高いところに位置するため「tertre 高台」なのだという。シャンブル・ドットもやっているので夕食をとって、泊まることにした。
ディナーでは、シャトーの魅力的なマネージャー夫妻とテーブルを共にでき、念願の、力強く優雅なマルゴーのワインを一緒にいただいた。美しい畑やシャトーのたたずまいに、夢見心地の晩だった。
宿泊できる部屋は5室。それぞれ構造が違うけれど、全室、ブドウ畑に面している。浴槽から畑が見える部屋を選び、窓を開けてお湯につかると星が見え、虫の声が聞こえた。やわらかいベッドの上で、灯台やディナーの残像をたのしみながら、眠りにおちた。
Château du Tertre:
14 all. du Tertre 33460 Arsac
http://chateaudutertre.fr
www.booking.comからでも予約可。
1泊230€〜。
ボルドーワイン委員会サイト(日本語)
www.bordeaux-wines.jp
メドックのワイナリーガイド
www.medoc-bordeaux.com/visiter/