日曜に息子カップルがやってくる。ミートパイでもてなそう。鶏のもも肉はそのままでもいいのだが、ぼくは、火が通りやすいように関節のところで二つに切り分ける。玉ネギとニンニクはみじん切り、ニンジンは1センチほどの厚さに輪切り。マッシュルームは二つか四つに切り分け、フライパンに油少々をとって強火でさっといため、水気を出しておく。
大きめのソトゥーズあるいはココット鍋に油をとり、まず玉ネギとニンニクをいためる。玉ネギが透きとおってきたら、マスタードを入れ、白ワインを注いで混ぜ合わせる。もも肉をできるだけ重ならないように入れ、水をひたひたに加える。濃縮トマトも入れ、ブーケ・ガルニ(長ネギ+パセリ+ローリエ)も加え、軽く塩、多めにコショウする。沸騰してきたら弱火にし、ふたをして1時間半ほど煮込んでいくのだが、40分たったらニンジンを入れる。
肉が骨からはなれかかっているころだろう。大皿にとり出す。煮汁にマッシュルームを加え、強火にし、煮汁が半分くらいになるまで煮つめ、必要なら塩とコショウで味を調える。ここで、バターと小麦粉をねり合わせたbeurre manié(コラム参照)を混ぜ入れ、とろみをつけたい。
もも肉の皮と骨をはずし、大まかにほぐし、煮汁にもどして混ぜ合わせ、冷ます。
オーブンの目盛りを180度にして点火。
オーブン皿に肉を煮汁ごと敷き、その上に、市販の折り込みパイ生地を置き、軽くおさえる。生地の真ん中に、焼いている間に蒸気が抜けるように〈cheminée〉と呼ばれる小さな穴をあける。つやが出てきれいな焼き色になるように、卵黄を割りほぐし、はけを使って生地一面に塗りつける。熱くなっているオーブンに入れ、30分ほどで表面に焼き色がついたら完成。
とろりとした肉やニンジン、マッシュルームに、パリっと焼き上がったパイ皮のコントラスト、拍手がわくだろう。付け合わせは英国風に芽キャベツの塩ゆでがおすすめ。ワインは、ボージョレ産のモルゴンのような上品な赤がいい。(真)
【材料】鶏のもも肉3本、折り込みパイ生地1枚、中玉ネギ1個、ニンジン2本、マッシュルーム300g、ニンニク2片、ブーケ・ガルニ、白ワイン半本、マスタード大さじ1杯、濃縮トマト、大さじ1杯、beurre manié(バター大さじ1杯+小麦粉大さじ1杯)、卵黄1個、油適量、塩、コショウ
Pâte feuilletée
折り込みパイ生地 pâte feuilletéeは、作るのが大変なので市販のものを使うが、〈pur beurre バターのみ〉と明記されたものをえらびたい。この方がパリっと焼き上がるし、バター風味がうれしい。すでに2、3ミリの厚さにのばしてあって、すぐ使えるものと、冷凍の長方形のもの(たとえばPicard製)とがある。円形を選ぶか長方形にするかは、もちろんオーブン皿の形次第です。今回のレシピに使った冷凍生地は、のばしてないので冷蔵庫に入れて12時間ほど解凍してから、めん棒でのばした。
Beurre manié
バターを小さめのボウルにとり。室温にしばらく置いておき、ポマード状になったら同量の小麦粉を加え、フォークの背などを使ってねり合わせたものがbeurre manié。煮込み料理の仕上がりにとろみがほしいときに、これを混ぜ入れれば、即座にとろみがついてしまうし、ダマもできない。その上バターの風味もつくと一石三鳥だ。その量は煮汁の量次第で、今回のレシピではそれぞれ大さじ山盛り1杯くらいで十分だろう。
Blanchir des légumes
野菜を下煮することをblanchirという。絹ザヤの下煮なら、鍋に多めに水をとって塩少々を加え、沸騰したら絹ザヤを加え、1分ちょっとでパソワールにあけ、色がきれいに残るように冷水で即座に冷まし、水気を切る。大根はある程度の時間下煮しないと柔らかくならないけれど、ぼくは電子レンジを使う。今回の「ふつわ」のレシピなら、2.5センチの厚さに輪切りにしてから皿に並べ、レンジ用のふたでおおって、たとえば700wで4、5分、丁度いい感じの柔らかさになるだろう。
落しぶた
適当な大きさの落しぶたがなかったら、アルミホイルを鍋の形に合わせて切ればいい。真ん中に蒸気が抜けるように小さな穴をあけましょう。コーヒーフィルターを2枚切り開いて、円形になるように置いてもいい。