Théodore Rousseau, La voix de la forêt
木を人間のように見なし、木や森の伐採に反対する人が増えている。プチパレで回顧展が開催されているバルビゾン派の巨匠、テオドール・ルソー(1812-67)はその元祖のような人だ。これまで「バルビゾン派展」の枠で他の画家たちと一緒に展示されることが多く、ルソーの個性を際立たせる個展はほとんどなかった。本展は作品だけでなく彼の哲学を知ることができる絶好の機会だ。
ルソーの時代、自然の風景は絵画にとって歴史や神話の主題を彩る「添え物」に過ぎなかった。そのアカデミズムを良しとせず、木を生きている存在として慈しむように描いたのがルソーだった。当時の感覚からすれば完成品に見えない、習作のような描き方も物議を醸し、その異端さで、美術家にとって登竜門であるル・サロン(官展)に何度も落選した。
一日中森で下絵を描き、アトリエで仕上げるのが彼のやり方だった。外で描く方法といい、描き方の革新性といい、印象派を先取りした画家といえるが、実際、モネらと交流し、一緒にノルマンディーに滞在したこともあった。
1840年代、バルビゾン派が愛してやまなかったフォンテーヌブローの森で、木の伐採が始まった時、ルソーは「無実の存在の虐殺」と題して、伐採の場面を描き、それを告発。そして芸術家たちに賛同を呼びかけ、内務大臣に保護地区を作ってほしいと嘆願した。ルソーの要求は通り、1853年、森の一部に芸術保護地区が作られることになった。
ルソーが描いた木々には、胸に迫る美しさと威厳がある。生物多様性が危機に瀕している今、ルソーの絵から感じ取れるものは大きい。(羽)7/7まで。
Petit Palais
Adresse : Av. Winston Churchill, 75008 ParisURL : https://petitpalais.paris.fr
火-日 10h-18h 金土10h-20h 閉館の1時間15分前までに入館すること。12€/10€ 18歳未満無料