パリ北部に隣接するサントゥアンの町。新しいメトロの駅Mairie de Saint -Ouenが完成し、RERのC線とメトロ13番線に加え、14番線が伸びて便利になった。久しぶりに行ってみると町は大変身のまっただ中。新しい駅前の交差点も市庁舎前の広場も工事中、古い建物を解体する隣で新しい住宅が建てられ…と、まさに開発ラッシュだ。
しかし、そんな新しいエリアにも、すでにその中心ができ、町としての営みが始まっている。日曜の昼どき、大きな新興住宅街の中央にできた 「コミュナル」に行ってみると、子ども連れで賑わっていた。国際色豊かなフードコートとマルシェが入ったその大ホールには、平日の夕方も雨で外で遊べない子どもたちを遊ばせに来た親たちや、仕事あがりに一杯飲みに来たような人々も多かった。さまざまな人が行き交い集うさまは、かつて、町の中心にあった広場が屋内に再現されたかのようだ。
セーヌ川に面したサントゥアンの町は、今の雰囲気からは想像しがたいが、18世紀には貴族が屋敷を構える避暑地で、小麦や果物を栽培する村だった。19世紀になって水運のよさもあり工業地帯として発展したが、今は自動車工場が病院に、電車工場がフードコートになったりしている。今、まさに変貌をとげつつあるサントゥアンの散策に出かけよう。(集)