Site verrier Meisenthal マイゼンタール・ガラス複合施設
ガラスづくりの技を後世に伝える。
人口714人のマイゼンタール村にあるガラス複合施設は、1704年創業のガラス製造所跡地を利用して設立された。国際ガラスアートセンター(CIAV)、ガラス博物館、ガラスホールの3施設がある。1867〜94年にはアール・ヌーヴォーを代表する作家エミール・ガレがドイツ領下にもかかわらず、ナンシーからやってきて自身のガラス工房として一部を使っていた。1920年代には650人の職人・労働者が年間数百万個の日用ガラス食器を作っていたほど栄えていたが、設備の近代化に乗り遅れて1969年に廃業。しかし、市民団体のイニシアティブと地元自治体の支援によって、1983年には博物館、92年にはCIAV、96年にはコンサート、演劇、展覧会などが催されるホール (3200㎡)が、18〜19世紀の建物を生かして公的施設としてオープンした。
ガラス製造のノウハウを伝えるために設立されたCIAVでは、8人のスタッフが地元モーゼル県や仏中央部アリエ県などのガラス工芸科で勉強する若者を実地指導する。ガス・電気炉が並ぶアトリエでは、吹き竿に赤く熱したガラスを巻き取って型の中に吹いたり、くるくると回したりと忙しく動き回っていた。サンルイとラリックで10年働いて4年前にここに来たガラス職人ジェレミーさんは、「職人の工房という自由な雰囲気が好き」と言う。今は毎年造るクリスマスツリー用の飾り作りで忙しい。去年は5万個作って完売した人気商品で、併設ブティックでアトリエ制作の他商品とともに販売されている。
博物館はガラス製造に関する展示、ガレ、ドームらのアール・ヌーヴォー作品、現代作家の作品などを展示。CIAV、博物館、ホールとも2021年春完成を目指して全面改装中(工事中も一部開館)なので、博物館も来年1月から閉館となり、展示品の一部はナンシーで展示される。(し)
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吹きガラス製クリスマスオーナメントの由来:
1858年は、降雨量が少なく作物の収穫量も少なかった。当時、この一帯ではクリスマスになると生の果物をツリーに飾っていたが、その果物も採れなかったため、隣町のグッゼンブルックのガラス職人たちが吹きガラスで果物や松の実や球体などを作りツリーを飾ったのが始まりと言われている。グッゼンブルックには1721年からガラス工房があり、メガネのレンズなどを主に製造していた。
1964年、ガラス工房は閉鎖したが、このマイゼンタールのガラス複合施設ができてから、オーナメントを作っていた職人たちが、その技を若い人たちに伝授し製造を始めるようになった。とくに今の時期は、クリスマスを前にマイゼンタールの職人たちは忙しい。