ロサンゼルスを拠点に世界規模の活躍を続けるYOSHIKI。先日、初の監督作となった渾身のドキュメンタリー『YOSHIKI:UNDER THE SKY』が、シャンゼリゼ大通りの映画館UGC Normandieで上映されたばかり。上映後のQ&Aに加え、ピアノライブを行い、ファンを歓喜させた。
本作は音楽の力で世界を勇気づけるべく、監督本人のイニシアティブで始動したプロジェクト。アジア、北米、ヨーロッパの総勢10組のアーティストと、大陸を超えた音のコラボレーションを実現させた。本作の経験を弾みに、今後は監督業にも意欲をのぞかせる。実はフランス文化のアンバサダー的な活動にも熱心で、今や「フランスは第二の故郷」。そんなYOSHIKIにパリで話を伺った。
—–今回は初めて監督業も務められました。
YOSHIKI:最初から「監督をやろう」みたいには思ってはいませんでした。今までもミュージックビデオだったり、僕のバンドを撮った映画もあったので、クリエイティブのプロセスにはかなり関わってきました。今回「こういうものを完成させたい」ということが頭にあり、自分で色々やっているうちに、特に編集の段階でスタッフから「最初からディレクターをやってるじゃない」と言われ、それで結果的に“監督”になりました。
一番の挑戦や困難だったことは何でしょうか。
YOSHIKI:コロナの中で制作が始まったこともあり、規模を世界的に広げてしまったので、何にフォーカスをし何を伝えるべきか、それがブレないことがチャレンジでした。音楽を作る時でも単純に「キレイだったね」「良かったね」と思われるのが嫌なタイプなので、必ずなにかしら衝撃を与えるようにしたいと思ってます。もっと踏み込んだところに行かなければと、制作しながら考えていました。
—–今回の経験を通して新しい発見はありましたか。
YOSHIKI:上映をすればするほど、色々なところから「監督をやってほしい」という話も頂き始めてます。ドキュメンタリーだけではなく、フィクションの提案もあります。
—–やる気はありますか。
YOSHIKI:やる気ですね!ただ、僕がアクションフィルムを撮ってもしょうがない。今回のドキュメンタリーとも通じますが、これまで色んな人を失ってきているので、生と死についてや、生きている意味について考えられる作品を作ろうと思っています。時間はかかると思うのですが。
—– フランスがお好きだと伺っていますが。
YOSHIKI:何か空気感が、いるだけで好きで……。けっこう月イチくらいで来ています。今はシャンパンを作らせてもらっているのと、ブランド「Maison Yoshiki Paris」を立ち上げたのでファッションショーも近々あると思いますし、バカラのデザインもやらせてもらっています。そういうこともあり頻繁に来ています。今はLAの次にパリ(の滞在)が多いです。
—– フランスで好きな場所はどこですか。
YOSHIKI:けっこう方向音痴というか、いつも誰かの後を犬みたいについていったり。(笑)
コロナの前ですけど、ご飯を食べながらボートでセーヌ川を回りました。ルーヴル美術館は好きで何回も行ってます。昔は「モナリザ」が普通に見られたのに、今は凄い人がいてびっくりしました。(仏東部の町)ナンシーはキレイだったな。バカラのファクトリーが近くにあります。
—– 世界を舞台に活躍できる秘訣はありますか。
YOSHIKI:いや毎日が闘いで、まだまだ闘っている感覚があります。それは楽なプロセスではないので、時にはプライドがズタズタにされたり、精神的に辛いと思うこともあります。でも世界で闘えているだけで幸せだし、そういう環境にいられることに感謝しています。
—– YOSHIKIさんのご活躍で勇気をもらっている方もたくさんいるかと思います。
YOSHIKI:いつも思っているのは「不可能はない」ということです。日本には素晴らしいアーティストがたくさんいると思いますが、外に出て行こうとする人がそんなにいなかったのかな。自分は海外に向かっていくひとりとして、「できないことはないのだ」と、そう思える強い自分もいます。
—– これから『YOSHIKI:UNDER THE SKY』を見る方のために、メッセージをお願いします。
YOSHIKI:最初は普通のコンサート映画みたいに思う方もいるかもしれませんが、実は凄く深い、ジェットコースターみたいなストーリーが待っています。見に行く前と見終わった時の気持ちでは、多分人生観が変わるくらいの違いがある映画です。ぜひ見て頂きたいです。
聞き手:林 瑞絵、編集部
https://yoshikiunderthesky.com/
※マルセイユでの上映(12月28日)のチケット購入はこちらから。