秋になって最初に八百屋の店頭を飾るキノコがジロール茸。明るいオレンジ色が美しい。どんな料理に使うにせよ、少々手間のかかる下準備。石づきをとってから、刷毛を水にちょっとつけつつ、キノコの表面についている枯れ葉などをサッサッサと掃除する。小さいものはそのまま、大きいものはいくつかにさく。
下準備したジロール300gを鍋にとり、水少々と塩一つまみも加えて中火にかけ、キノコがしんなりしたらとり出し、冷ます。ジロールはこんなふうに少ししんなりさせたほうが口当たりもよくなるし、風味も増す。これをルッコラ菜roquetteと小さなホウレンソウpousse d’épinardのミックスに混ぜ入れる。酒少々を加えた好みの合わせ酢と和えれば、気のきいたひと皿だ。
ジロールの吸いものも秋らしい色合いだ。吸いものは、だしの素を使ってもいいのだが、ひと苦労して、コンブとカツオ節で本格的にだしをとって、ジロール茸の上品な香りを生かしてあげたいものだ。だしを熱くして、ジロール200gほどを加えたら、数分間、火を通す。
最後にきざんだ三つ葉を散らしたいところだが、フランスではちょっと無理。小口に切った万能ネギでがまんすることにしよう。(真)