Giovanni Bellini, Influences croisées
イタリア・ルネサンスの画家、ジョヴァンニ・ベッリーニ(1435頃-1516)は有名な画家の父ヤーコポの婚外子としてヴェネツィアに生まれた。嫡子である長兄ジェンティーレと同じように父のアトリエで修行し、最終的には父も兄も凌いで大物画家となった。先達からも後輩からも良いところを取り入れて成長した人で、そのため作風がよく変化した。
会場では、父、長兄、義兄マンテーニャ、相互に影響を受けた友人メッシーナ、イタリアに入ってきたフランドルの画家メムリンクの作品がベッリーニと並んで展示されており、どのようにいいとこ取りをしたのかがわかる。ベッリーニは当時の他の画家同様、聖母子やキリスト、聖人といった伝統的な題材を扱っており題材には目新しさはないが、面白いのは彼の光の扱いだ。まるで現代の写真家がスタジオで撮影するときに照明器具を使ったような光の当たり方なのだ。
聖ジュスティーナの肖像では、足元から光が出ている。旧約聖書を題材に、ワインで酩酊したノアと彼を取り囲む息子たちを描いた「ノアの酩酊」の場面は葡萄畑で、空は暗く、夕方だ。横たわる裸のノアには、左端から強い光が当たっている。暗い屋外なので光が当たるのは変だが、鑑賞者にノアの裸姿を見せるためなのか、舞台的な効果を出している。「バプテスマのヨハネと女性の聖人に囲まれた聖母子」では背景が明るく、前方の人物は暗い。そのため、背景に人物をコラージュしたかのように見える。
こうした光の使い方は、本物の作品を見ないとわからない。50点と展示点数は少ないが、見に行く価値は大いにある。(羽)
Musée Jacquemart-André
Adresse : 158, boulevard Haussmann, 75008 ParisURL : https://www.musee-jacquemart-andre.com
10h-18h (月 -20 h30)、無休。17€-10€。