Festival Lumière 09.10-17.10 2021
田中絹代 “監督”作品上映も。
映画文化揺籃(ようらん)の地リヨンで生まれ、今年で13歳のリュミエール映画祭。その歴史こそ若いが、映画の父・リュミエール兄弟ゆかりの映画研究所アンスティチュ・リュミエールが母体で、由緒正しさは折り紙付き。カンヌ映画祭とディレクター(ティエリー・フレモー)が同じで、カンヌのコネを最大限に活かした豪華なゲストも自慢。一言で言えば、古典映画を中心に映画史に“光(リュミエール)”を当てる映画祭である。
今年は10月9日から17日まで。アンスティチュ・リュミエールが拠点とするシネマテークと映画博物館、市内の映画館、さらにコンサートホールやコンベンションセンターなどが上映やイベント会場になる。基本的にプロ向けのカンヌとは違った、まさに市民のための映画の祭典だ。
修復されたクラシック映画や映画人のレトロスペクティブ上映、企画上映などプログラムは多種多彩。10月10日
19h45からは、今年3月に逝去したベルトラン・タヴェルニエへの「オマージュの夕べ」を、オーディトリアム・ド・リヨンで開催する。アンスティチュ・リュミエールを長きにわたって率いて、映画の楽しみを伝授し続けたリヨン出身のシネフィル監督だ。
また、本映画祭は「映画のノーベル賞」を目指し、毎年映画文化の発展に並外れた貢献をした人物に「リュミエール賞」を授与している。これまでクリント・イーストウッド、ケンローチ、クエンティン・タランティーノ、マーティン・スコセッシらが受賞したが、今年は新作『パワー・オブ・ザ・ドッグ』がベネチアで監督賞を受賞したジェーン・カンピオンが選ばれた。それに伴い、カンピオン作品の上映やマスタークラスなど関連企画が目白押しだ。
特筆すべきは田中絹代 “監督”のレトロスペクティブ上映。女性監督の再評価の機運に乗り、近年本映画祭も女性映画人の仕事を積極的に紹介する。溝口や小津、成瀬ら巨匠作品の常連俳優の田中だが、実は6本の監督作品を残した。今年のカンヌでは田中の監督第二作『月は上りぬ』(1955)がクラシック部門で上映されたが、今回は修復された全監督作品を一挙に楽しめる貴重な機会となる。(瑞)
田中絹代作品上映プログラムは、こちら。
●Festival Lumière
Institut Lumière
25 rue du Premier Film 69008 Lyon
1回券4~7€ / アンスティチュ・リュミエールのアクレディテーション(12€/14€)を購入すると7€のかわりに5€に。特別上映やマスタークラスは料金が様々。
チケットは会場で直接購入可。サイトで購入は billetterie officielle
http://www.festival-lumiere.org/
Festival Lumière - Institut Lumière
Adresse : 25 rue du Premier Film , 69008 Lyon , FranceURL : http://www.festival-lumiere.org/