※ ダンケルクのカーニバル特別ボキャブラリーコーナーは文末に。
ダンケルク駅前のバスターミナルに極彩色の衣装の人々が数十人。南13kmにある人口2千人のアンブ=カペル(Armbouts-Cappel)の村の祭に行く人たちだ。仮装は寒くないかと聞くと、「カーニルバルをする人は寒さを感じないのよ!カーニバルは雨でも雪でも決行よ!」とダンケルクの英雄ジャン・バール(p2)に扮した女性が元気に答えた。
楽隊の青年がバスを待ちながら太鼓を叩いて、その場がすでに祭りムードになっている。バスに乗り込むなり大合唱が始まった。ジャン・バールの歌、オンクル・コーの歌(亡くなった楽隊の指揮者に捧げられた歌)…。
村に着いたら公民館へ。仮説バーではビールやフリットがどんどん売れる。人々は楽隊の音楽を聴きながら午後3時に 「バンド」が始まるのを待っている。「バンド」とは、楽隊の音楽に合わせた行進で、Tambour majorと呼ばれる指揮者の指示のもと、笛が奏でられる間は歩いて行進。管楽器の演奏になると「シャユ」(前列の人たちは後ろに押し、後ろの人たちは前方へと押す、おしくらまんじゅう的なもの)。
周囲の人たちも、演奏に合わせて歌ったり、合いの手を入れたり、飛び跳ねたりしながら進む。こうして、1時間ほどかけて村を回るのだ。それにしても仮装した人々が勢揃いした様は、おもちゃ箱をひっくり返して、その人形やぬいぐるみが動きだし、遊んでいるような感じだ。
バンドが終わったら公民館で休憩。薄暗くなる頃、また楽隊が外へ出て、演奏とともに今度は人々を村役場の前へといざなう。そして、「ニシン投げ」。役場の上階の窓から投げるニシンを人々が下でキャッチする。「魚をとらえた人は、その場で丸ごと食べるの」と女の子が説明してくれた。こういった「しきたり」のようなものをいくつか教えてもらった。例えば、仮装する”もうひとりの自分”には別名があったり、どこの祭へも同じ仮装で行く。衣装はずっと洗わないなど(根拠は不明
ここでは、ダンケルクのバンドより小規模であるとはいえ、やはり初心者は行進の外から眺めるのがいいだろう。安全靴が必須だというし、地元の人たちは小さい頃から子どものためのバルやバンドに参加したり、初心者はレクチャー(カーニバルの歴史、安全のための心得)に行くなど教育され、鍛えられているのだから。セキュリティー要員や救急隊員たちが行進を見守りながらゆっくりと行進について歩くのも印象的だった。ダンケルクへの帰りのバスでも、合唱が続いた。
● Bande : 音楽にあわせた行進。
● Chahut : 最前線の人は後ろのほうへ押し、後ろの人たちは前方へ押す。
● Carnavaleux : (カーナヴァルー)カーニバルに参加する人。
● Chapelle : カーニバル期間中、個人が運営する休憩所、バー。
● Jet de harengs : 役場からニシン (パックされている)を投げる。
● Tambour major : 鼓笛隊の隊長、指揮者。
● Rigodon : やぐらや、ジャン・バール像などの周りをグルグル回ること。
● Zôt’che(zot’che) : (ゾッチュ)カーニバル期間はあいさつのキスも口と口 (写真→)。