Georges de la Tour, Entre ombre et lumière

76,7 x 95,5 cm Rennes, Musée des beaux-arts ©Rennes, Musée des beaux-arts
ロレーヌ公国で生まれ、ほとんど国内の町リュネヴィルで生涯を過ごしたジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)は、ルイ13世の国王付画家に任命されるほどの栄誉を得たが、18世紀以降すっかり忘れられた。
再評価が始まったのは1910年代からだ。光を使ってカラヴァッジョのように陰影を効かせていながら、カラヴァッジョと違い劇的な演出はなく、その静謐(せいひつ)な雰囲気で見る人に安心感を与える「癒しの絵」である。これほどの数の作品を一挙に見られる機会は滅多になく、混雑が予想されるので、早めに予約していきたい。
大画家でありながら、謎が多い。1616年まで何をしていたのか、どこにいたのか、誰の元で修行したのかなど、資料がなく事実が全くわからない。リュネヴィルが30年戦争の舞台となり、大火で多くの作品が消滅したことも災いしている。

キュレーターのひとり、ゲイル・ファイゲンバウムさんは「イタリアに行ったことも、カラヴァッジョの作品を見たこともなかったが、カラヴァッジョの追従者の作品を見て、カラヴァッジョ風の描き方を知ったのだろう」と言う。
一番心に残ったのは、レンヌ美術館所蔵の『新生児』だ。当時の習慣に従って布でぐるぐる巻きにした赤ん坊を愛おしそうに抱く女性、それを見守るもう1人の女性。つい聖母子を想像するが、簡素な服で普通の人に見える。もう一つの傑作、『悔悛(かいしゅん)するマグダラのマリア』も普通の衣装で、悔悛というより瞑想しているかのようだ。この普通さの中にある静けさと精神性が、現代人をも魅了する要因なのだろう。(羽)1/25まで

(1593-1652) La Madeleine pénitente Vers 1635-1640
Huile sur toile 113 x 92,7 cm Washington, National Gallery
© Courtesy National Gallery of Art, Washington of Art

Musée Jacquemart-André
Adresse : 158 boulevard Haussmann, 75008 Paris , FranceTEL : 01.4562.1159
アクセス : Miromesnil
URL : https://musee-jacquemart-andre.com
月〜木 : 10h-18h 金:-22h 土日10h-19h。10月の日曜は20hまで。 10/18閉館。 18.5€/17.5€/15€/9.5€ 家族 (大人2人+7〜17歳の子供2人) 49€。
