電気・ガス規制料金は、政府支援で今年は15%の値上げ。
昨年は政府の電気・ガス料金抑制政策で値上げが抑えられたが、今年はどうなるのか気になるところだ。政府の発表によると、今年の一般家庭向け規制電気・ガス料金は原則として15%の値上げに抑えられる。
昨年は政府が400億€を費やして、ガス料金は凍結、電気料金は4%の値上げに抑えられた。今年は規制ガス料金が1月から15%値上げされ、6月末までそのまま据え置き。その後は規制料金そのものが廃止されるため、値上げされる恐れはある。
電気料金は2月1日に15%値上げされ、年末まで据え置きとなる。この値上げ抑制措置は、一般家庭だけでなく、小企業、村、高齢者・障害者施設などにも適用される。そのための政府の支出は210億€との試算だ。政府によると、15%の値上げでガスと電気がそれぞれ世帯当たり平均で月20~25€上がるが、価格抑制措置がなければ200€前後の値上げになるという。
車などの燃料については、昨年は政府の支援で1ℓあたり10~30セントの値引き(政府支出76億€)が行われていたが、この措置は今年は廃止となり、通勤や仕事に車・バイクが必要な低所得世帯に100€の支援金が支給される(税務サービスへの申請が必要)。対象は約1000万人で予算は10億€。
さらに、低所得世帯向けのエネルギー小切手(収入に応じて48~277€)が継続されるほか、昨年に続き「特別エネルギー小切手」として、所得に応じて100€または200€が2月末までに中低所得世帯に自動的に支給される。特別エネルギー小切手は約1200万世帯が対象。重油や木で暖房する家庭も前者は3月末、後者は4月末までに申請すれば50~200€の小切手が支給される支援制度がある。
こうした費用は石油企業に対する特別課税や電気生産企業の超過利益への特別課税110億€が充てられる。
パン屋の悲鳴に政府が対応 ー 零細企業支援策。
以上は政府が定める規制料金が適用される電気・ガス契約の場合で、そうでない場合は急激な値上げのケースもある。消費電力が大きいために規制料金を適用されないパン屋が電気・ガス料金が一挙に5倍や10倍になり、このままでは廃業に追い込まれると訴える声がメディアで取り上げられ、政府がエネルギー企業を招集し、価格を抑えなければ税金を上げると強硬姿勢を示した。マクロン大統領もエネルギー企業に高すぎる料金の契約の見直しを求めた。
協議の結果、ルメール経済相は6日、昨年後半に電気の契約を更新した、従業員10人未満、売上200万€未満の零細企業には、メガワット時あたり280€以下の価格を1月から今年いっぱい適用することでエネルギー企業と合意。同相によると、パン屋のほか、肉屋、カフェ・レストランなど60万社の零細企業が対象になるという。昨年前期までメガワット時当たり約50€だった料金が後期の契約更新で300~400€以上になっていた。
従業員250人未満の中小企業でも、今年は原料やエネルギーコストの上昇が予想され、赤字に陥る企業が多数あると懸念されている。一般家庭でも電気・ガス料金の15%上昇に昨年1年での5.9%のインフレも追い打ちをかけ、今年は財布の紐がさらに締まりそうだ。(し)