Choux à la crème pâtissière
友人夫婦が小学生の男の子と食べに来るというので、シュークリームを作ったら、大好評だった。シューを焼くなんてむずかしそうという声がきこえてきそうだが、二、三のコツを守れば、誰にだってできてしまうのです。
シューの中に入れるカスタードクリーム(以下のコラム参照)の用意ができたところで、オーブンの目盛りを200C°にして点火する。さあシュー生地作りだ。鍋に、水、バター、砂糖、塩ひとつまみを入れ、中火にかける。バターが溶けたところで、ふるいにかけておいた小麦粉をいっきに加える。「いっきに」というのが最初のコツだ。
木のヘラで素早く練り合わていくと、鍋からきれいにはがれて大きな団子状になる。これをサラダボウルなどにうつし、割りほぐしておいた卵4個を4回に分けて加えていくのだが、へらを使って全体が均一になるまでよく混ぜ合わせてから、次の卵を加えるというのが二番目のコツ。根気のいる作業だが、しっかり練り合わせるのもコツで、これでシューがふっくらと盛り上がる。
天板いっぱいにクッキングシート(硫酸紙)を敷く。生地をしぼり袋に入れ、大さじ山盛り1杯半分くらいの分量をしぼり出していく。しぼり袋がなかったら、スプーンで同量をおけばいい。焼き上がると2倍以上にふくらむのでシューとシューの間隔をきちんととるようにする。これを熱くなっているオーブンに入れ、10分たったら温度を180C°に落とし、もう15分くらいで、キツネ色の焼き色がついたらでき上がり。途中、焼き具合を見ようとオーブンを開けてはいけない、というのも大切なコツだ。開けたりしたら、シューがふくらまなくなってしまう。 オーブンから天板を出して、シューを大きな皿にうつして冷ます。
冷めたら、横に深めに切れ目を入れ、しぼり袋やスプーンでカスタードクリームを詰めれば完成。今回は小さな子がいたので、シンプルなカスタードクリームだったが、少量のお湯で溶いたインスタントコーヒーとラム酒少々を加えれば、大人が大喜びのカスタードクリームになる。(真)
水250cc、バター80g、卵4個、小麦粉125g、砂糖小さじ2杯、塩ひとつまみ(この分量で中くらいのシューが10個前後、小さなシューchouquetteが20個くらい焼ける)
Crème pâtissière
鍋に牛乳500ccをとり、バニラ1本のさやからかき出した黒い種と、さやも加えて中火にかける。すわりのいいボウルに卵黄4個と砂糖をとる。泡立て器で勢いよく混ぜ合わせていき、白っぽくなってボリュームが増したら、小麦粉50gを混ぜ入れる。なめらかで均一になったら、熱くなった牛乳を、バニラのさやをとり出してから少しずつ混ぜ入れ、鍋に戻して今度は弱火にかける。やすみなくかき混ぜていき、グツグツと沸騰したら火からおろして冷ます。少々固いようなら、生クリーム適量を加えるといいだろう。
Chouquettes
ひと口大に焼き上げられた小さなシューはchouquettesと呼ばれ、ほとんどのパン屋で買うことができる手軽なおやつだ。自分で焼くなら、今回のレシピにそって生地をつくり、小さじ2杯分くらいの分量を、まわりに余裕をもって置いて焼けばいい。パン屋では、sucre grain(sucre perlé)という粒々の砂糖を振りかけてから焼くが、このsucre grain、スーパーでも見つからないことが多いので、ぼくは焼き上がったものに、きめの細かい粉状の砂糖 sucre glaceを振りかけてパクつく。うまい!