80年代はじめ、カリブ海に浮かぶグアドループ島から「ズーク」という名の強力ハリケーンがフランス本土に上陸する。ズークは、クレオール語の民謡やグアドループ特有のグウォ・カという太鼓のリズム、アフロキューバンやロックやソウルなどがフージョンした音楽だ。そのハリケーンの目が1979年に結成されたカッサヴだ。カーニバルを思わせるその陽気な音楽はフランス人をとりこにし、国際的なダンス音楽になっていく。そのカッサヴのリーダーで、ギタリスト、歌手のジャコブ・デヴァリューが7月30日、コロナ感染症が悪化し65歳で亡くなった。
昨年カッサブ結成40周年を記念するパリ公演のライブ*がリリースされたけれど、そのデヴァリューのすごいボーカルを聴きたい人には『Yelele』というアルバムがおすすめだ。カッサヴの熱いリズムに乗って、同じフレーズをくり返しながら音楽を盛り立てていく、その少ししゃがれた声のあたたかさ! 聴いているぼくらの腰が足がひとりでに動きはじめる。ジョルジュ・デシミュスの、大きめにミキシングされたベースも硬く弾みながらよく歌っている。
“Mwen di ou awa” は “Yelele”にも入っている名曲。