〈ディニテ〉ある女性の魅力に、感情移入。 2017-07-19 舞台・映画 0 『Une femme fantastique/素晴らしい女性』は、主人公マリナにものすごく感情移入しながら観た。マリナは30代半ば(?)、昼間はレストランでウェイトレス、夜はクラブで歌っている。映画は初老の男性オルランドの日常描写から始まる。彼はマリナの愛人で二人は同棲中。この日 [...]
『Visages Villages』年の差アーティスト、互いを知る旅。 2017-07-05 舞台・映画 0 ヌーヴェル・ヴァーグの生き伝説アニエス・ヴァルダと、現代アート界の寵児JR。88歳と33歳のふたりは2015年に出会い意気投合。フォトマトン(証明写真機)付き特製トラックに乗り込み旅に出る。「人々を撮影し巨大ポスターにして壁面に貼る」というJRのライフワークであるパフォーマンスで [...]
映画力と音楽力が昇華する 2017-06-17 舞台・映画 0 今回紹介する6月21日公開の『Songs for Madagascar』は、とても小規模な映画なので公開もとても小規模(パリで1館とか)と予測されます。なので注意してないと見逃します。でも、とっても豊かな映画なので、ぜひ追っかけて観てくださいね。 [...]
『L’amant double』謎を乱反射させ、観客を錯乱に誘う 2017-06-01 舞台・映画 0 カンヌ映画祭のコンペ部門に入った4本のフランス映画のうちの一本。この20年で長編17本目となる多作の人、フランソワ・オゾン監督最新作だ。クラシカルな反戦ドラマの前作『Frantz』から一転、今回はデ・パルマやヒッチコック、クローネンバーグの影響も感じさせるエロティック・心理スリラ [...]
苦難を生きた人の心を幸福感に包む、パレスチナ少年の声。 2017-05-19 舞台・映画 0 『Le Chanteur de Gaza / 歌声にのった少年』 2005年パレスチナ、ガザの街を駈け抜ける子ども達。ボーイッシュな少女ヌールと弟のムハンマドはいつも一緒、大の仲良し姉弟だ。そこにオマールとアマドを加えた4人は、サッカーに興ずるかたわら、ガラクタ楽器を奏でながらバ [...]
平凡な風景もどこか異様に。メメ ・チャン・メルトル監督の作品。 2017-05-04 舞台・映画 0 『Album de famille』 長編1・2 作目が対象のカンヌ批評家週間は、未来の巨匠の発掘にうってつけの場。古くはジャック・タチやアラン・レネ、2000年以降はアレハンドロ・G・イニャリトゥやジェフ・ニコルズを輩出した。映画『Album de famille』は昨年の批評 [...]
ポーランド人巨匠の、21世紀の死生観。 2017-04-21 舞台・映画 0 『11 minutes 』は、ある夏の日のワルシャワで、17時から11分の間に起きた話である。ただここでは、複数の人間の11分が交錯する…女優とその夫、彼女をホテルの一室で面接する映画監督…ドラッグをバイクで配達する青年…ホットドッグを屋台で売る前科者…ホットドッグを頬張る修道女 [...]
観客の心にまっすぐ飛び込む歌声 『 FÉLICITÉ 』 2017-03-31 舞台・映画 0 先のベルリン映画祭で、コンペティション部門唯一のアフリカ映画にして、次席に当たる審査員グランプリ受賞作。セネガル人の父、フランス人の母を持つアラン・ゴミス監督が撮影の地に選んだのは、大統領選に絡み混乱が続くコンゴ民主共和国。 [...]
『Sage Femme』大女優ふたりが対照的な女性を演じる。 2017-03-22 舞台・映画 0 クレールは助産婦という仕事に身を捧げる超まじめ人間。ある日、ベアトリスという女性から「アントワーヌ・ブルトンを探している」という連絡が入る。その人物はクレールの亡父、ベアトリスは彼の愛人だった。彼女が彼を捨てて行方をくらませた直後に父は他界した。クレールにとって、ベアトリスは疎ま [...]
文楽と、前衛歌曲。 2017-03-17 インタビュー舞台・映画 0日本が好きなフランス人 シェーンベルクを「文楽」で。 ジャン=フィリップ・デルソーさん 演出家・人形遣い 初演の1912年から、常に芸術家たちを刺激してきたシェーンベルクの名歌曲『月に憑かれたピエロ』(以下ピエロ)。今月はアテネ劇場で、文楽の演出で楽しむことができる。 三百年来の古典芸能・文楽と、20世 [...]