ノルマンディーの作家と食〈34〉 2018-12-06 ノルマンディーの作家と食 他 0 フランス文学を代表する作家であるフロベールは、50代半ばで経済的に苦しい生活を強いられるようになった。そんな事情について、師であり友人である作家のジョルジュ・サンドに宛てて1875年の8月にこんな手紙を書いている。 「伝えるには悲しすぎることがあったので、手紙を書けないでいました [...]
ノルマンディーの作家と食 〈33〉 2018-11-05 ノルマンディーの作家と食 他 0 『ブヴァールとペキュシェ』(1881年)を執筆中のフロベールは、1879年の大みそかに姪のキャロリーヌに疲労を訴えている。「今日のように、疲れにすっかりやられてしまう日々には、私には筆を持つ力さえもないのです!私には休みが必要なのです。でも、どうやって?……どこで?……そして、 [...]
ノルマンディーの作家と食 〈32〉 2018-10-05 ノルマンディーの作家と食 他 0 フロベールの遺作となった『ブヴァールとペキュシェ』(1881年)には、世間から見放されている人物が何人か登場する。 その中でも、食に興味がある読者がどうにも気になってしまうのが、大食漢のマルセル。「捨子として宿なしのまま野原で大きくなり、そのながい窮乏生活から、 [...]
ノルマンディーの作家と食 〈32〉 2018-10-04 ノルマンディーの作家と食 他 0 フロベールの遺作となった『ブヴァールとペキュシェ』(1881年)には、世間から見放されている人物が何人か登場する。 その中でも、食に興味がある読者がどうにも気になってしまうのが、大食漢のマルセル。「捨子として宿なしのまま野原で大きくなり、そのながい窮乏生活から、 [...]
ノルマンディーの作家と食 〈31〉 2018-09-10 ノルマンディーの作家と食 他 0 フロベールの傑作『ブヴァールとペキュシェ』(1881年)の主人公ふたり組は、ノルマンディー地方の農園を手に入れると、夢中になって野菜や果物の栽培に打ち込む。フロベール自身も農業に対する憧れがあったのか、皮肉たっぷりの著書『紋切型辞典』の「農業」の項目には「国家の乳房。奨励すべし [...]
ノルマンディーの作家と食 〈30〉 2018-08-20 ノルマンディーの作家と食 他 0 フロベールの代表作には、まるで約束事のように大勢で食卓を囲む風景が出てくる。『ボヴァリー夫人』(1857年)では婚礼を祝う田舎の祝宴が、『感情教育』(1869年)ではパリの大画商宅での趣向を凝らした夕食が読者に深い印象を残すけれど、その遺作となった傑作小説『ブヴァールとペキュシ [...]
ノルマンディーの作家と食 〈29〉 2018-07-12 ノルマンディーの作家と食 他 0 1880年に亡くなったフロベールの遺作となった小説『ブヴァールとペキュシェ』(1881年)は、一種の壮大な百科事典のようにも読める。準備にあたって、フロベールは何千時間も園芸や科学、歴史などの本を読みふけった。また、老体にむち打ち、時には愛弟子のモーパッサンをともなってリサーチ [...]
ノルマンディーの作家と食 〈28〉 2018-06-11 ノルマンディーの作家と食 他 0 フロベールの作品中、実体験に基づいて書かれている要素が最も多いのが『感情教育』(1869年)だ。先に見たように、この作品の主人公フレデリック同様、作者も人妻への叶わない恋を追いかけ続けた。アルヌー夫人を思慕しながらも、いや、思慕する故なのか、フレデリックはその夫との交際を続ける [...]
ノルマンディーの作家と食 〈27〉 2018-05-08 ノルマンディーの作家と食 他 0 フロベールの『感情教育』(1869年)は、主人公フレデリックの個人的な生活を追う小説でありながら、パリの歴史を知るための重要な資料としても役に立つ。 物語が展開するのは1840年から1851年。パリでは、1848年に二月革命が起こっている。皆が真に平等である社会を夢見た民衆が起 [...]
ノルマンディーの作家と食 〈26〉 2018-04-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 『感情教育』(1869年)の主人公フレデリックは、作家になりたいと思ったり画家になりたいと思ったり、未来の目的が定まらない優柔不断な若者だ。でも、この作品の作者であるフロベールは、まるで作家になるために生まれてきたような人物。9歳の時から物を書き始め、病いによって安静を余儀なくさ [...]