ボーヌの旧市街を歩いていると、カフェやレストランでほとんどの人がワインを飲んでいるのに気づいた。パリから電車で2時間ほど。ここは、まさにワインの街。
ボーヌの人々は、ワインとともに育つ。子どもの頃からワインの香りを感じ、大人になると味わい、そして愛するようになる。生活とワインは、いつも一緒にあるのだ。
ブルゴーニュのワインには、少し難しいイメージがつきまとう。きっと、中世から続く歴史や文化がそうさせるのだろうし、実際に偉大で理解が難しいワインも存在する。でも、ボーヌであなたを待つのは、リーズナブルで気のいいワインがほとんどだから、気構えずにグラスを手にしたい。
地元っ子に人気のビストロでローカル食材を使った一品とともに、そしてカジュアルなワインバーでシャルキュトリーやチーズとともに飲む一杯は、旅を素敵に彩ってくれる。もっとワインを知りたくなったら、今年6月に待望のオープンを迎えた、楽しくワインを学べる“シテ(博物館)”や、試飲もできる旧市街にあるワイナリー を訪れよう。もちろん、エスカルゴやトリュフなどの名物で、おなかを満たすのも忘れないように。(恵)
■ パリからボーヌへの行き方 :
パリ・ベルシー駅からBeauneまでは直通のTER電車で約3時間半。リヨン駅からTGVでディジョンなどで乗り換えると2時間半前後。ボーヌ駅から中心街までは徒歩20分ほど。車ならパリからボーヌまで3時間半ほど。
写真と文 : 吉田恵理子
取材協力 : Office de tourisme Beaune & Pays Beaunois
Bourgne Franche-Comte Tourisme
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【特集】おいしいボーヌ。は、4回に分けて掲載します。
お見逃しなく!
〈その1:ワイン編〉
〈その2:食べ物・レストラン編〉
〈その3:オスピス・ド・ボーヌ
歴史あるチャリティー・ワインオークションと、ワイン祭・栄光の3日間〉
〈その4:ボーヌのフランス料理店 Le Benaton(ル・ベナトン) 杉村 圭史さん〉
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もっと気軽に!ボーヌでワイン。
ユネスコ世界文化遺産「クリマ」を楽しく学ぶ。
Cité des Climats & Vins de Bourgogne
(ブルゴーニュのワインとクリマ博物館)
今年6月、ボーヌ、シャブリ、マコンのブルゴーニュ3カ所に博物館がオープン。ブルゴーニュワインの生まれる土壌や気候、ワインの造り方や香りの特徴などを、インタラクティブな装置や鮮やかな映像を通して学べる。
BEAUNE (ボーヌ)
「クリマ」はブルゴーニュの1800以上に細かく画定されたブドウ畑と、各畑の土地の個性、歴史、それらが形成する景観までを総合したもの。2015年には、ユネスコ世界文化遺産に登録された。3つのワイン博物館では、畑のある土壌で見つかる化石を触ったり、ワインの香りの特徴をフレッシュな生鮮食材で再現したガラスケースで嗅ぎ分けたり、子ども大人も楽めるコーナーが盛り沢山!
見学後には、ワインまたはブドウジュースをクイズ形式で試飲できる。かわいいワイングッズが見つかるギフトショップも必見。ワインと食のマリアージュ講座なども定期的に開かれているので、ウェブサイトをチェックして出かけよう。
www.citeclimatsvins-bourgogne.com
▶︎ Beaune(ボーヌ)の Cité des Climats & Vins de Bourgogne
21 av. Charles de Gaulle 21200 Beaune
ボーヌ駅より送迎バス (有料)あり
10h-18h (休館日はサイトで確認を) 14€/6-17歳 7€。
CHABLIS(シャブリ)の Cité des Climats & Vins de Bourgogne
ブルゴーニュ地方の北部に位置するシャブリ。同じく北部のオセール、ヴェズレーなどのワインにもスポットをあてている。
▶︎ Cité des Climats et vins de Bourgogne à Chablis
1 bis rue de Chichée 89800 Chablis
10h-18h(休館日はサイトで確認を)。
9€/ 6.5€/6-17歳4.5€。日曜はガイド付きコース有。
MACON(マコン)の Cité des Climats & Vins de Bourgogne
ブルゴーニュ地方の南の町マコン。ここでも多く出土するアンモナイトをイメージした建物はソーヌ川沿いに建てられている。ワインバーでは音楽とワインのイベント等も開催。
▶︎ Cité des Climats et vins de Bourgogne à Mâcon
520 av.Maréchal de Lattre de Tassigny
71000 Mâcon
10h-18h (休館日はサイトで確認)。
9€/6.5€/6-17歳4.5€。日曜はガイド付きコース有。
ワイン博物館でブルゴーニュワインの魅力に触れたら、町のワイナリーを訪ねてみよう!
Maison Champy (メゾン・シャンピ)
ブルゴーニュ最古のワイン商。
1720年創業のブルゴーニュで最も歴史あるワイン商。自社畑も持ち、ボーヌ旧市街で唯一、醸造から瓶詰まですべての工程を行うワイナリー。見学コースでは、生化学者ルイ・パスツールのワイン研究に4代目当主が協力し研究室もあったこと、醸造施設が建築家ギュスターヴ・エッフェルのアイディアにより建てられたなど、目からウロコの歴史を発見できる。
Maison Champy
5 rue du Grenier à sel 21200 Beaune
03.8023. 7521
www.maisonchampy.com
ワイナリー見学と試飲 25€〜。(英仏語)
Patriarche ( パトリアルシュ )
ワイン200万本が眠る、中世のカーヴを散策。
18世紀に創業された、ブルゴーニュを代表する老舗ワイン商のひとつ。ワインのクラシックなスタイルに定評がある。ボーヌ旧市街中心地の地下に5kmにおよぶ巨大な貯蔵庫を持ち、最も古い部分は13世紀にも遡れる。
自由に回る見学コースでは貯蔵庫を散策、各所に設置されたデジタルパネルには日本語もあり、ワイナリーとワインの背景について詳しい情報がわかる。最後には、ソムリエの解説付きでワイン6種をテイスティング。
▶︎ Patriarche(パトリアルシュ)
5-7 rue du Collège / rue Paul Chanson
21200 Beaune
03.8024.5378
www.patriarche.com
ワイナリー見学と試飲 20€ (日本語含む9ヶ国語)
【Patriarche カーヴでの特別イベント!】
11月18日 (土)と19日 (日)
9h30-17h30
オスピス・ド・ボーヌのチャリティー・オークションが開催される週末2日間、パトリアルシュでは特別カーヴ見学&試飲を開催。ボーヌ旧市街の地下5kmのカーヴのそこかしこに置かれたアート作品を鑑賞しながら、1973年から2022年までのブルゴーニュの銘酒を10酒 (白×4、赤×6)をテイスティングできる。この2日間はワインの7系統の香りを使った演出もされるというから、そちらもたのしみ。
(所要時間は約1時間半)。
こちらのサイトから予約 (試飲する10のワインもこちらに記載)
10月31日までに申し込めば70€。それ以降だと80€。
ボーヌに行くなら「栄光の3日間」がおすすめ!
Trois Glorieuses
毎年11月第3日曜日に行われる、オスピス・ド・ボーヌ(ボーヌ施療院)が持つ畑から造られたワインの競売会は世界で最も有名なワイン競売会として知られ、今年で163回目を迎える(今年は11月19日)。
この週末(金〜日)は「栄光の3日間Les Trois Glorieuses」と呼ばれ、競売の中継を市民ホール前の大スクリーンで見られる他、カルノ広場にワインや名物料理の屋台が立ち並び、音楽のパレードが行われるなど、ボーヌの街は華やかなお祭りムードに。1年でいちばん街が賑やかになるこの3日間にぜひ訪れて、ワインと美食を心ゆくまで堪能しよう。
ボーヌ観光局 www.beaune-tourisme.fr
Office de Tourisme Beaune & Pays Beaunois:
6 boulevard Perpreuil 21200 Beaune
Tél : 03.8026.2130