
Amandine
たいていのパン屋にアマンディーヌamandineという丸く小さな菓子が並んでいる。名前から想像できるようにアーモンドamandeが主な材料だ。アマンディーヌは、砂糖入りのパイ生地の上にアーモンドベースのたねをのせて焼くのだが、今回はパイ生地なしで大きめに焼くことにした。これならだれにでも簡単、小麦粉が入らないのでグルテンアレルギーの人も安心だ。アーモンドパウダーpoudre d’amandesもアーモンドスライスamandes effiléesもスーパーで手に入るが、アラブ系の食料品店などで購入すれば、ひと包みの量は多いけれどずいぶん割安になる。残っても、湿気の少ないところに保存すれば長持ちする。
オーブンの目盛りを160度に合わせ、点火。
バターは、さいの目に切り分けて大きめのボウルにとって室温に置いておき、ポマード状になったら砂糖を加える。一部をバニラ砂糖sucre vanilléにして、アーモンドの香りと相性のいいバニラ風味をつけたい。かわりにバニラビーンズ1本分のバニラを加えたら文句なし。フォークやへら、泡立て器をつかって均一になるまで練り合わせる。ここへ卵2個を入れ丁寧に混ぜ合わせる。アーモンドパウダーと残りの卵1個も混ぜ入れればたねの準備終了。ぼくはラム酒大さじ1杯も加える。バターを塗った直径24センチの型にたねを入れて平らにし、熱くなっているオーブンへ。
30分少々で、きれいな焼き色がつき、厚さ2センチくらいに焼き上がるだろう。オーブンから型を出して10分ほど待ったら型からアマンディーヌをとり出すのだが、クッキングシートで型をおおい、その上にまな板や大きな皿をのせてひっくり返せばいい。ここでアーモンドスライスをフライパンにとって弱火にかけ、軽く色がつくくらいに煎(い)る。アマンディーヌの表面に、アプリコットのジャムをはけで塗り、アーモンドの薄切りを軽く押しつけるようにしながらまんべんなく散らす。デザートならホイップクリームを添えてもいいし、そのままティータイムにもいい。(真)
4~6人分:バター75g+型に塗る分少々、砂糖130~150g(そのうちバニラ砂糖15g)、卵3個、アーモンドパウダー130g、アーモンドスライス大さじ4杯、アプリコットジャム適量
Amande

アーモンドは地中海沿岸では南仏、スペイン、シチリア島、モロッコなどが主な産地だ。5月末くらいから、薄緑色のビロードのような皮をかぶった生のアーモンドを八百屋の店先で見かけることがある。二つに割ると白い実が現れる。初夏ならではの味だ。乾燥させた実は、ほかのナッツ同様にアペリティフのつまみ。アーモンドパウダーはマカロンやフィナンシエなどの菓子に使われる。マグレブではクスクスやタジンに入るし、中華風に鶏肉といため合わせるとうまい*。薄皮の渋みが苦手なら熱湯に入れて1分ほど火を通すとつるりとむける。これをamandes émondéesという。
*ovninavi.com/futsuwa881/
Truite aux amandes

アーモンドを使ったフランス料理の定番。ハラワタが抜いてあるニジマスを4尾買ってきて、表面のヌルヌルをキッチンペーパーでぬぐう。塩、コショウし、小麦粉をはたく。フライパンに油とバターを半々にとって中火にかけて熱くし、ニジマスにしっかりと焼き色がつくまで焼いてから、各人の熱々の皿に、ゆでジャガといっしょに盛りつける。フライパンの脂をすてて有塩バターを大さじ3、4杯とり、アーモンドスライスを60gほど加える。中火で、たえずゆすりながらきれいな焼き色をつけ、マスの上にかければでき上がり。
