『フランス人ジハーディスト』
彼らはなぜイスラム聖戦士に?
彼らが初めて明かす証言。
ダヴィッド・トムソン著
小沢君江訳、緑風出版(2200円+税)
シリアのアサド大統領独裁政権の化学兵器にまで及んだ弾圧により20〜30万人の住民が殺害され、マグレブ諸国や西洋諸国の若者たちが現地のムスリム住民の救援を志し、イラク、シリアに向かい始めたのは2011年頃からだった。現地で彼らを迎え入れたのは、ビン・ラディンが頂点に君臨していたアルカイダ組織と、2014年バグダーディーがイラクで樹立を宣言した「イスラム国」だった。
著者ダヴィッド・トムソンはラジオ・フランスの報道記者として2011年チュニジアからリビアへと取材地域を広げていった。そこで出会ったフランス人青年たちはジハード(イスラム聖戦)に志願するためシリアに向かおうとしていた。その中の20人程が携帯電話とスカイプでジハードに志願した動機や経緯、ネットで〈イスラム国〉のプロパガンダに洗脳され、自らイスラム教に改宗し妻子と共にシリアに向かったかなどを証言。大多数は元移民の後世代で麻薬の元ディーラーや元受刑者。
フランス社会から遊離し「フランスをアッラーの敵」とみなす彼らの目的、聖戦のために殉死することを夢見る青年たちの思考回路を探る手だてになるかもしれない。