最近メディアで《ショアShoah》60周年特集が続いた。一般的に「ホロコースト」という言葉が使われているのだけれど、ショアとホロコーストの違いをユダヤ人の友人に聞いてみた。ホロコーストというギリシャ語の起原は、古代ユダヤ教の全燔祭(獣を丸焼きにし神に供える)からきており、アウシュビッツなど強制収容所のガス室でのユダヤ人大虐殺のイメージにつながったのだろうという。
ヘブライ語で「滅亡、壊滅」を意味するショアは天災にも使われ、宗教的な意味でも犠牲者はユダヤ人を指しているので、ユダヤ人絶滅計画はショアと呼ぶべきだという。そしてユダヤ人以外の犠牲者も含め約600万人の集団大虐殺「ナチスによるジェノサイド」という言葉もショアのあとに付け加えるべきだと示唆する。
最近ルモンド紙でランズマン監督が自作『ショア』について書いていたが、彼はヘブライ語が解らないので本当の意味は知らなかったという。言葉では解明できない事実として『La Chose そのこと』という題名にしたかったそうだ。
終戦時チャーチルは、アウシュビッツの惨状を目の前にし「名のつけられない犯罪だ」と言ったそう。ジェノサイド genocideという言葉は、1944年、ポーランド人法学者ラファエル・レムキンによる造語で、「人類に対する犯罪」という言葉とともにニュールンベルグ裁判で初めて使われたという。言葉が歴史をつくるということなのだろう。(台)