Gâteau de milla
復活祭の休暇です。子供たちでも簡単にでき、牛乳や卵も入って栄養満点、ミヤと呼ばれるお菓子 (フランス南西部) を作ってみよう。大きいスーパーや穀物屋graineterie、あるいは最近流行りのBioの店でトウモロコシの粉farine de maïsを買ってくる。僕は朝市に屋台を出すポルトガル人のお店で買う。きっとポルトガル風にポレンタやお菓子を作るのでしょう。どうしても見つからなかったら、トウモロコシ特有の懐かしい味はなくなってしまうが、コーンスターチmaizenaで我慢します。
オーブンの目盛りを5 (180度) に合わせて点火しておく。牛乳750ccを沸騰寸前まで熱くしておく。
トウモロコシ粉100 グラム+砂糖150~200 グラム+レモン1個分の皮を薄くむいてみじん切りにしたもの、以上をボールにとって混ぜる。真ん中をくぼませ、 卵4個、オレンジ水 eau de fleur d’oranger 大さじ2杯も混ぜ込む。ここへ熱くしておいた牛乳を注ぎ、泡立て器を使いながらさらに丁寧に混ぜ合わせる。
これを鍋に戻して火にかけ、木のヘラで絶えずかき混ぜていき、ブツブツッと沸騰し始めたら、バターを塗ったオーブン皿に流し入れ、熱くなったオーブンに入れる。20分ちょっとで中まで火が通る。
この間にリンゴを焼く。肉質が締まった “Fuji” のようなリンゴがいい。2個皮をむき、芯をとって8あるいは12に割る。大きなフライパンにバター大さじ2杯をとり、中火にかける。泡が立ってきたらリンゴを並べ、色がついたらもう片面も焼くことにしたい。最後に表面がカラメル化するように粉砂糖を振りかける。
焼き上がったミヤをリンゴで飾り、オーブン皿ごと食卓に出して、スプーンなどで取り分ける。甘酸っぱく香ばしいリンゴとオレンジ水やレモンの香りが一つになり、大人にもうれしいおやつ。(真)
台所の本/●稲葉由紀子『パリの朝市ガイド』
料理上手は、買い出し上手。どんな土地に行ってもまず、食べ物を調達できるところを探さないと心が安まらないという著者は、食べ物に恵まれたパリの朝市の魅力につかまってしまう。主な朝市が写真入りで紹介されているが、ページをめくるうちに、屋台に溢れるような野菜、果物、海の幸の彩りや匂いに包まれ、お店の人の呼び声も聞こえてくるようだ。見慣れない食材に出会ったら、すぐ買ってきて味見したいという姿勢も見習いたい。僕はプラス・デ・フェットにあるというエスカルゴ屋さんに出かけてみよう。朝市を歩き回っていておなかがすいた人向きに、近くのおいしいレストランが紹介してあるのも親切です。(真)
文化出版局発行
本体一五○○円+税
●トウモロコシ粉 farine de maïs
トウモロコシの実を小麦のごとく挽いて粉にしたもの。精製の度合いで、褐色に近いものからほとんど白色のものまでがある。イタリアでは、粗挽きのものを水に溶いてから30分から40分火を通してポレンタpoléntaを作る。トウモロコシ粉を薄く大きなおせんべいのように焼けば、メキシコのトルティーリャです。同じトウモロコシが原料でも、コーンスターチはでんぷんだけを抽出したもので、ほとんど無味無臭。
●オレンジ水 eau de fleur d’oranger
オレンジの花を煎じて香りをつけた透明の液体。マグレブ3国をはじめとし、中近東でお菓子などの香りづけにひんぱんに使われている。タジンなどの料理にも入ることがある。香水っぽい匂い、と嫌う人もいるが、最近はフランスでも人気が出てきて、高級レストランのデザートにもこっそり使われていたりする。スーパーやアラブ系の食料品店で瓶詰めの形で売られています。一度使ったら冷蔵庫で保存。
●フリアンはどうやって切るの?
前号の市販の折り込みパイ生地を使ったフリアン、「小さく切り分けると書いてあったけれど、どんな風に?」というご質問をもらった。コトバ足らずですみません。答えは、ソーセージとソーセージの間に包丁を入れて切り離してから、図のごとく小口切りです。小さく切った方が、つまみやすくアペリチフには便利。お詫びに、市販の折り込みパイ生地を使って手軽に作れるおつまみをもうひとつ紹介します。アンチョビー・ペーストがチューブ入りで売られています。生地の半分にこのペーストを薄く塗り、その上からエマンタールなどのおろしチーズを振りかけ、生地のもう半分を折りかぶせてオムレツ形にし、小さなひし形などに切り分けてから、フリアン同様、オーブンで焼くだけ。シャンパンやビールのおつまみに最高。