Falafel
ファラフェルは、肉を食べてはいけない四旬節のためにエジプトのコプト教信者が考え出した、とても古い料理だという。エジプトでは乾燥ソラ豆をすりつぶしてさまざまなスパイスを混ぜ入れ、団子にして揚げるが、レバノンではヒヨコ豆 pois chiches と半々にする。前号3ページで紹介されていた、ロジエ通りで売られているサンドイッチのファラフェルはヒヨコ豆だけ。僕らもファラフェル・サンドを作って、楽しいベジタリアン・パーティーを開いてみたい。
ヒヨコ豆を水で戻したり、すりつぶすのが面倒だというのなら、ユダヤ食料品店やスーパーのエスニック食品売場で、 “Falafel mix” などという水で溶くだけで準備完了のインスタント食品を買ってくる。割高だが、味だって揚がり具合だって、なかなかのもの。いっしょに中近東のパン、ピタも買いたい。
“Falafel mix” の粉 (4人分として180g)に指定された量の水を加えて混ぜ合わせ、15分ほど寝かせておく。
その間に野菜の準備。キャベツはせん切りにして、薄塩とワインビネガーで和えておく。キャベツのかわりにカブを使ってもいい。キュウリはせん切り、トマトは小さく切る。
ゴマのペースト、タヒナをレモンの絞り汁、水少々、プレーン・ヨーグルトで伸ばし、塩、コショウで味を調え、おろしニンニクとパセリのみじん切りを加えればソースも準備完了だ。
テーブルに野菜とソース、アリサという練り唐辛子やタバスコソースを並べ、ピタパンを温め直すためのトースターを用意する。
ナスは8ミリほどの輪切りにして、熱い油で色よく揚げる。ファラフェルは小さめの団子にして、表面はコンガリと色がつき、中はしっとりとなるように揚げていく。トーストで温くしたピタを半分に切って (お店のサンドよりは小さめだが、詰めやすいし食べやすい)、優しく開き、その中に、野菜、ファラフェル、揚げナスと詰め込んでソースをかけ、好みで辛みをきかせ、あとは、エイヤッとかぶりつくだけだ。(実)
●pita
ピタは、レバノンやイスラエルなど中近東で食べられているパン。最近はスーパーなどでも簡単に手に入るようになった。”pochettes sandwichs” と包装に書いてあったりするように、上部を切って開くと袋状になり、今回のファラフェル・サンドのようにいろんなものを詰めることができる。また、ふたつに開いてから、サケやニシン、サバなどの燻製魚をのせたり、タラマやナスのキャビアを塗ったりして、ブリニスがわりにするのもいい。脂肪分、卵0%だから、コレステロールが心配な人にも向いている。
●tehina (tahineh / tahina…)
国によって呼び方に多少変化があるけれど、中近東やギリシャの人たちにとって大切な調味料、ゴマのペーストのこと。僕が愛用しているレバノン産は、100%ゴマだから、レモンの絞り汁やヨーグルトで伸ばして塩で味を調え、おろしニンニクや好みのスパイスで香りを付ける。ウモスやナスのキャビアに加えたり、揚げ物やサラダなどのソースとして使いたい。冷蔵庫に入れておけば1年以上保存できる。最近ユダヤ食料品店で買ったものは、すでに油で伸ばして味付けがしてあり、すぐ使えるようになっていた。 こちらは早めに使い切りたい。