日本では動物園で見かけるくらいでほとんど食用にされていないホロホロチョウだが、フランスでは食用として飼育されている。その値段も、キロ10ユーロくらいと鶏より少し高いだけだから、かなりふつうに使われている食材だ。 その締まった肉質、どこか野禽(やきん)を思わせるような味わいを楽しみたい。
以前、このホロホロチョウにクリを詰めてローストする一品を書いたことがあるが、今回は蒸し煮です。 肉屋で1.5キロくらいのホロホロチョウを求め、骨ごと四つに切り分けてもらう。首ももらって帰る。この骨と首がおいしい味を作ってくれるのだから。
まず肉の両面に塩、コショウ。ココット鍋にバターと油を半々にとって、それが熱くなったら肉を入れ、中強火で炒めてきれいな焼き色をつける。ここでいったん肉をとり出し、余分な脂をクッキングペーパーに吸いとらせる。
ここでバターを大さじ1杯ほど足したら、大きめのさいの目に切ったベーコンとみじんに切ったエシャロットを加える。少々炒めたら肉を戻し、水を大さじ2杯注いでから、ブーケ・ガルニを入れ、ふたをして40分ほど弱火で蒸し煮していく。途中で1回引っくり返す。鍋の底が焦げつきそうになったら、水をちょっと足します。
クリは今がシーズンだから、皮をむいてから水煮しておけばベストだが、その手間をかける時間がなかったら丸ごと水煮されたクリの瓶詰を利用する。これだってうまい。
ホロホロチョウに火が通ったら、赤ワインを注ぐのだが、なるべく風味のいいものを使いたい。木のへらで、鍋の底についている肉のうま味を溶け込ませたら、クリを加えて、こわれやすいので慎重に混ぜ合わせる。ふたをしてもう5、6分ででき上がり!
身の締まったホロホロチョウも申し分ないが、肉のうま味、ベーコンの香りを吸ったクリ! クリスマス料理のメインにもおすすめしたい。 赤ワインは、ぜいたくをしてコット・デュ・ローヌやブルゴーニュの銘酒を開けたい。(真)
材料 4人分:ホロホロチョウ1羽1.5キロくらいのもの、ベーコンpoitrine fumée150g、エシャロット4個、ブーケ・ガルニ、赤ワイン200cc、バター、油、塩、コショウ
●ホロホロチョウ
アフリカのサバンナに生息するホロホロチョウだが、フランスでは南西部を中心に食用に広く飼育されている。キジなど野禽(やきん)を思わせる風味にファンが多い。
〈Label Rouge〉で、放し飼いされて良質の飼料で育ったことが保証されているものの方が、かなり味がよくなる。ホロホロチョウの方が、鶏よりも肉質が締まっているので、同じ重さでも食べがいがある。
鶏肉のレシピがほとんど通用する。ワインを使う時は、白ワインよりもコクのある赤ワインの方がおいしくなる。オレンジやリンゴなどの甘酸っぱさとの相性もいい。こわがらずにどんどん利用したい食材だ。
●ホロホロチョウの残り肉でサラダ
ローストしたり、蒸し煮したホロホロチョウの肉が残りそうなら、はじめから胸肉のところをのけておいて、翌日にでもサラダを作ろう。
皮をはいでから、できるだけ薄くそぎ切りにする。酸味の強いリンゴのグラニー・スミス1個と、洋ナシ1個は、皮をむいてからせん切りにし、レモンの搾り汁を振りかけておく。洋ナシは熟しすぎだとくずれてしまうので気をつけたい。
ちょっと手間がかかるけれど、薄皮をむいたオレンジもいい。サラダボウルの底に、洗ってから水気を切り小さめに切り分けたサラダ菜を敷き、果物、ホロホロチョウの肉を置く。ドレッシングは油の代わりにヨーグルトを使ったものが合う。
●ベーコン poitrine fumée
フランスの肉屋では、ベーコンは塊で売っている。キロ18ユーロ前後。
肉屋が包丁を当てながら「このくらいですか」と聞いてくる。ベーコンエッグに使いたい時は、枚数を言って薄く切ってもらいましょう。
キッシュに入れたりする時は脂身のあまりないもの、煮込みに加える時は脂身の多い方が適している。スーパーには、すでに小さくlardon状に切られたものが並んでいる。