L’Art “dégénéré” Le procès de l’art moderne sous le nazisme

100 x 102 cm. Museo Nacional Thyssen-Bornemisza, Madrid
© Estate of George Grosz, Princeton, N.J. / Adagp, Paris, 2024
退廃芸術 – ナチス政権下の近代美術糾弾
ヒットラーが政権を取った1933年から1945年までの間、ナチスは前衛芸術やユダヤ人芸術家の作品は国策にそぐわないと「退廃芸術 (Entartete Kunst)」の烙印を押し、美術館約100館から2万点以上の作品を押収した。そして、見せしめのために、それらを展示する巡回展覧会を開いた。1937年にミュンヘンでの退廃芸術展に出展された700点以上の中には、ピカソ、カンディンスキー、クレー、マティス、ゴッホも含まれていた。その後散逸した作品を集めたのが本展だ。
ドイツ表現主義のエルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー、ナチの思想に深く傾倒していたのに退廃芸術家とされたエミール・ノルデ、当時の社会を風刺したジョージ・グロス(冒頭の画像)、オットー・ディクスなど。その彫刻が退廃芸術展カタログの表紙に使われたオットー・フロイントリッヒは、強制収容所に送られ、死んだ。
最後の展示室は、ナチスが「退廃芸術」作品を資金源として売却したことを説明している。コレクターのなかには「買うな」という人もいたが、作品を救う目的で購入したコレクターもいた。ニューヨークのグッゲンハイム美術館の基礎を作ったユダヤ系米国人ソロモン・グッゲンハイムもその1人。ユダヤ人を抹殺しようとしたナチスがなぜユダヤ系にも売ったのか。キュレーターによると、「退廃芸術はナチスにとって国内に置いておきたくないゴミなので、売却先が誰であろうと問題なかった」そうだ。
為政者が好まない表現や情報、研究を制限しようとする傾向が「先進国」や「大国」でも増え、人種差別が強まりつつある今、過去の教訓としてぜひみておきたい展覧会だ。(羽)5/25まで
【参照】OVNI939号 ドイツ/1920年代/ノイエ・ザッハリッヒカイト/アウグスト・ザンダー展




Musée national Picasso-Paris
Adresse : 5 rue de Thorigny, 75003 Paris , FranceTEL : 01 85 56 00 36
アクセス : Saint-Paul / Chemin Vert
URL : http://www.museepicassoparis.fr/fr
火〜日 9h30-18h、月休。16€ / 12€。
