毎日のように使うナイフやフォーク、そしてスプーンだから、新しく買いそろえたいときは、たくさんの種類が置いてあるデパートやお店に出かけ、一つ一つ手にとってみてハンドルが手によくなじむものを見つけたい。軽すぎず重すぎず、ハンドルの形が柔らかな曲線のものが目当てだ。アンティークの店で銀製を買いたい、という人もいるかもしれないけれど、手入れが大変。やはりステンレス製に限る。ハンドルのところが木製や樹脂製のものもあるけれど、これは好みです。
ステーキや肉のかたまりのローストを食べるときのために、刃全体がのこぎり状になっているステーキナイフもある。レストランなどでステーキを頼むと、このナイフを出してくれる店が多い。肉の繊維の方向と直角に刃を入れて薄めに切り分ければ、一層肉が柔らかく感じられるだろう。力にまかせに押し切ろうとすると、どうしてもイラストの男性のようにひじを張ってしまい、隣りの人の迷惑になることもあるので気をつけたい。あくまでも軽く前後に動かしながらです。
ナイフの幅が広いのは魚用。身と骨の間に平たく差し入れ、すくうようにとり出せる機能的なデザインだ。でも予算が足りないようなら、最初からそろえる必要はないだろう。魚となると。日本人は箸がほしくなるけれど、フランス人は、ナイフ、フォークを器用につかってみごとに魚を食べていく。デザートにタルトなどを出すときには、小さめのデザート用ナイフとフォークを添えることにしよう。
フランスの家庭では、子どもたちにもふつうのサイズのナイフ、フォークを出すことがほとんどだ。それを、ちょっと持て余し気味に使って、料理と格闘している姿はほほえましいかぎり!そしてどんどん上手になっていく。
テーブルのセッティングのときはナイフはとり皿の右側に、刃のある方を内側になるように置く。フォークは背を上にして置く。食べている最中は、ナイフとフォークが八の字になるように置き、食べ終わったらそろえて皿の上に置きます。こうすると、レストランでも食べ終わったというサインになり、皿ごととり下げてくれる。
スプーンは大さじcuiller à soupe(スープ用スプーン)と小さじcuiller à café(コーヒー用スプーン)があれば十分だ。食事をスープではじめるときは、スプーンをナイフの外側に置くことになる。材料の分量をはかるときにも使われることが多い。大さじ1杯は約15cc。小さじ1杯は約5ccです。(真)
Plat, assiette
何人分かをいっしょに盛りつける大皿はプラplatとかプラ・ド・セルヴィスplat de serviceという。きれいな柄入りのものとか無地の白いものとか、料理によって使い分けられるように2枚はほしいなあ。一人分のとり皿がアシエットassiette。アシエットは、メイン用には直径28センチくらいの大きめがいいだろう。肉にせよ魚にせよ、食べている間にどうしても、骨とか皮とか、肉の筋とか食べられないところが出てくるから、それを片隅に置くスペースがほしいからだ。レストランの盛りつけを見てもわかるように、小さめの皿にはみ出すように盛りつけるよりは、大きめの皿にゆとりをもって盛りつける方がきれい。前菜とかデザート用に直径20センチ前後の皿もほしい。それに深めのスープ皿があれば、申し分なく、大体の食事に間に合うだろう。
ビストロなどで四角い皿が幅をきかせるようになってきたが、丸い皿に比べたら、場所をとらずに必要な表面積を得ることができるから、というのが主な理由だろう。ぼく自身は、昔からの丸い皿の方が好きだけれど、これも好みです。
磁器製 en porcelaine をとるか陶器製 en faïenceをとるか、も考えなくてはいけないけれど、やはり磁器の方が、硬く、軽く、表面につやがあって料理が映える。色の豊富さからいったら陶器だけれど、重くてちょっとしたショックで欠けてしまうのが欠点だ。リモージュ産の磁器を買ったりしたら破産するけれど、図柄がない白いもので、黒や濃紺の縁どりがあるくらいなら陶器並みの値段になる。