Lapin aux pruneaux
プリュノー(プルーン)はスモモを干したもので、その甘酸っぱい風味が、ウサギ肉の淡白な味わいとよく合って、ビストロ並みのおいしい一品になるだろう。
肉屋、できたらニワトリ、カモ、ウサギなどの肉を売っている鳥肉屋 volailler に出かけて、ウサギをひとつ買い求めてさばいてもらう。よい風味が出る頭も忘れずに持ちかえりたい。
プリュノーの種をペティナイフの刃先を使ってとり出す。少しくらい形がくずれてもあまり気にしないことだ。玉ネギとニンニクはみじんに、ニンジンは1.5センチほどの厚さに輪切りにする。
ココット鍋などに、オリーブ油大さじ3杯とバター大さじ1杯をとって中強火にかけて熱くし、ウサギ肉を、頭をのぞいて加える。途中でひっくり返してまんべんなく焼き色をつけたら、塩、コショウし、大皿にとり出しておく。
ココットは洗わずに、ラルドン(コラム参照)を加え、焼き色が軽くついたら、玉ネギとニンニクを加える。弱火にし、木のへらで鍋の底をこすりながら、ウサギ肉やラルドンのうまみを玉ねぎにうつすようにしたい。バター大さじ2杯を加え、小麦粉をまぶしてさっといためたら、白ワインとチキンのブイヨン少々をそそぎ、だまができないようにへらで混ぜ合わせ、とろりとなったら、残りのワインとブイヨンを加える。中火にして沸騰させる。
ウサギ肉をもどし、ここで頭も加え、プリュノーの半量を入れ、軽く塩、多めにコショウで味をととのえる。グツグツいってきたら弱火にもどし、ふたをして45分ほど煮ていく。45分たったら残りのプリュノーとニンジンを加え、ふたをして相変わらず弱火でもう50分から1時間火を通す。
頭をとり出してから鍋ごと食卓に出し、それぞれの好みをききながら、「はい、もも肉よ」などと各人の皿に盛りつける。付け合わせは、極上の煮汁をからませて味わえるように、柔らかくゆで上げたジャガイモにかぎる。
飲みものは赤ワイン。ロワール産のシノンやソミュール・シャンピニーなどの、軽めでフルーティーなものにしよう。(真)
煮直せばさらにおいしくなるので6人分:
1.5キロちょっとのウサギ、プリュノー(pruneau)400g、できるだけ脂身の多いラルドン200g、ニンジン3本、玉ネギ中2個、ニンニク3片、バター大さじ3杯、小麦粉大さじ1杯、白ワイン半本、チキンのブイヨン500cc、塩、コショウ
Lapin ウサギ
ウサギはふつうの肉屋でも買うことができるようになったが、ときどき太い包丁で無造作にバサバサッと切り分けたりする店がある。すると、切り口の骨が鋭くとんがってしまい、危険きわまりない。というわけで鳥肉屋がおすすめ。
お店の人がよく切れる包丁を関節に差し入れ、頭をとってから細い前足pattes avant、ももcuisses、そして胴体râbleを四つくらいに、きれいに切り分けてくれ、頭とレバーも包んでくれるだろう。頭は、歯をむき出していて見ばえが悪いけれど、よいダシが出る。レバーにもファンが多いので、煮上がる10分ほど前に加えるといい。
ウサギ肉は鶏肉のような皮がついていない分、脂っぽくないから、ラルドンなどを加え、ゆっくりやさしく調理したい。タイム、ローズマリー、セージ、マスタード、白ワインなどを加えて風味よくしたい。今回のようにプリュノーだけでなく、サクランボとの組み合わせも素晴らしい。ビールの国ベルギーでは、クリックkriekというサクランボ風味のビールと煮込むのが定番になっている(写真)。これはうまい。
Lardon ベーコン
豚の三枚肉をくん製にしたベーコンlard fumé/poitrine fuméeを、小さく切り分けたものがlardons。肉屋でベーコンを買ってきてlardon形に切り分ければ文句なしだが、スーパーでもこのラルドンが簡単に手に入る。くん製してあるfuméとくん製していないnatureの二種類があるので、好み、あるいは料理によって使い分けたい。キッシュ・ロレーヌの具にしたり、フラメンクッシュにのせたり、オムレツに入れたり、肉の煮込みやグラタンに加えたりと使い勝手がある。保存もきくので、冷蔵庫に常備しておくと、 なかなか便利だ。くん製風味が強すぎるときは、さっとゆでるといい。