Paris + par Art Baselに加えて、10月20−22日の週末は、A K A A (Also Known As Africa)というアフリカ現代美術の国際アートフェアがパリで開催される。ロンドンの現代アフリカン・アートフェアに対抗して2016年に始まり、今年で8回目。アフリカ人だけでなく、アフリカに縁があるその他の文化圏のアーティストたちをギャラリーが紹介する。今年は37のギャラリーが参加した。会場はマレ地区のカロー・デュ・タンプル。
(羽)は、毎年ここで未知のアーティストを発見するのを楽しみにしている。入って真っ先に目に止まったのは、南アフリカのエボニー・キュレイティドEbony / Curatedのブースにあるヒュー・バイルンHugh Byrne(1983-)の躍動するような色彩の抽象画だ(冒頭の写真)。抽象のアーティストには具象から抽象に移行した人が多いが、建築を学んだバイルンは最初から抽象画だった。スイカを切ったような半円形やアーモンドのような形が、山や川が描かれたような空間に頻繁に現れる。
ベルリンを拠点とするArtco ギャラリーは、ガーナのパトリック・タゴエ=テュルクソンPatrick Tagoe-Turkson(1978-)が作るタピスリーのような厚みのある作品を展示している(上)。捨てられたプラスチックのサンダルを切って、モザイクのように貼った。プラスチック文化への批判が込められているが、パウル・クレーの水彩画のように美しい青や黄色の作品もある。タコラディ技術大学の教授である彼は、海岸を掃除し、学生たちに使い捨て文化を考えさせるワークショップを開いている。
リスボンのMovartが紹介するマリオ・マシラオMàrio Macilau(1984-)は、モザンビークの独学の写真家で、社会的なテーマを扱うアクティヴィストでもある。植民地主義のシンボルだった建物と別の写真を重ね合わせたり、風景に肖像写真を重ねた「記憶の環」と題する作品を展示している(この下)。
タイヤや自転車の部品、ヤシのファイバーなど廃材を利用して黒い円形作品を作るのは、モロッコ出身のRj。リサイクル企業のヴェオリアが材料を提供したので、ブース名はVeoliaになっている。会場にいた彼は頭から黒いベールを被り、顔を見せない。本名も年齢も明かさず、ミステリアスなアーティストだ。
マルセイユのアートのN G O、マルセル・マルセイユMarcelles Marseillesのブースでは、A K A Aのキュレーター、ファラ・ベンシェイクFarrah Bencheikhが選んだアーティストをグループで展示している。その中のエレーヌ・ベランジェHélène Bellangerは、食品などの紙のパッケージを平らにして、裏に自作の写真をインクジェットで印刷した(下)。リサイクルした包材の元の形がそのまま残っているので、写真が写っていない部分もある。11月16日からパリ11区のNGO「ラハ L’AHAH」でグループ展をするので、A K A Aで見逃した人におすすめしたい。
アフリカの現代美術の多様性がこれほど見られる機会は滅多にない。超有名作家の作品しか目にしたことがない人にとっては、アフリカ現代美術に対する既成のイメージを捨てられる良い機会になるだろう。(羽)
AKAA公式サイト ↓↓↓
Carreau du Temple
Adresse : 4 rue Eugène Spuller, 75003 Paris , Franceアクセス : Temple / République
URL : https://akaafair.com/
入場料:一般16€ / 割引11€ 。10/21(土) 12h – 20h、 10/22(日) 12h – 18h