「優先郵便 lettre prioritaire」切手が1月1日で廃止に。
フランス国内郵便で「赤い切手timbre rouge」でおなじみの、翌日配達の「優先郵便 lettre prioritaire」切手が1月1日に廃止になった。優先郵便を利用したい場合は、オンラインのみの利用となる。
フランス国家の象徴であるマリアンヌの絵柄の「赤い切手」は1945年以来、図柄は変わっても使われ続けてきた、フランス人にはなじみの深いものだ。優先郵便はメールや各種オンラインサービスの発達で利用が減り、2010年には世帯あたり年間45通だったのが21年には5通にまで減少。翌日配達のためには夜間輸送、飛行機による輸送などロジスティクス面でコストがかかることもあって、ラ・ポスト(仏郵便局)はついに廃止を決定した。
ただし、オンラインサービスなら利用可能だ。ラ・ポストのサイトから« e-lettre rouge »を選び、手紙のサンプルを使ってもいいし、自分でタイプした文書をアップロードしても、画面上で文面を書いてもいい。追加したい書類があればアップロードし、住所等の必要事項を記入して20時までに送れば翌日には届く。宛先の最寄りの郵便局でプリントされて封筒に入れられて届けられる仕組みだ。赤い切手の封筒への印刷を選択することも可能。従来の1.43€から1.49€にやや値上がり。オンラインが苦手な人は、郵便局に行けば、職員が手紙をスキャンするなどサポートしてくれるそうだ。守秘義務は守られるということだが、ラ・ポストの職員が手紙の内容を読もうと思えば読めるというのがやや気になるところ…。
赤い切手よりも利用度の高い「緑の切手」は配達に今までは2日かかるところが3日になるが、サービスは継続され、値段も変わらない。手元に残った赤い切手は緑の切手として使うことができる。
赤い切手の廃止について、労組は1.5万~2万人の雇用が削減されるだろうと警戒感を強めている。ラ・ポストの2022年上半期の決算で銀行部門が9億1500万€の経常利益を上げたのに対して、手紙・小包の郵便部門は6億9900万€の赤字。
物流コストの大きい「赤い切手」を廃止することによって約1億2000万€のコスト減を目指しているという。赤い切手廃止で優先郵便が減れば、毎日の郵便配達を3日に1度にして配達人員を削減するだろうと労組は分析する。郵便事業は公共サービスのはずだが、利益優先のためにサービスが縮小されていくのは問題ではないだろうか。(し)
https://www.laposte.fr/envoi-courrier-en-ligne
発送翌日に届けられるには Lettre simple (e-lettre rouge)を選択する。1.49€。