世界最大の電子機器廃棄物処理場がある西アフリカ・ガーナのスラム街、アグボグブロシー。先進国でゴミとして捨てられたパソコンやスマホ、タブレット、ゲーム機、家電製品が敷地を埋め尽くす。処理場と言っても特別な設備があるわけではなく、廃棄物を燃やし、燃えかすから銅などの金属を取り出す作業が人の手で日々行われるその場所は、プラスチックや有害物質を含む電子機器が発する熱と煙で景色がかすむ。一帯に蔓延する濃厚な有毒ガスが、生活のために働く住民やその家族の命をむしばむ、最も危険な電子機器廃棄物の墓場なのだ。
アーティストMAGO(長坂真護)は、廃棄物を送り込む先進国の住民として、この〈暴力〉に間接的に加担しているという不条理に異議を唱え、アグボグブロシーに降り立った。破綻した名ばかりのリサイクルシステムにアートで立ち向かうために。
MAGOが電子廃棄物の山から取り出したオブジェは、カンバスの上で新しいミッションを得てアート作品として再び世に出る。作品を通してアグボグブロシーの現状を伝え、作品を販売した利益でアグボグブロシーに美術館や学校を作ったり、住民にガスマスクを配っている。また、アグボグブロシーの子供たちが描いた絵を販売し、売り上げの一部が子供たちの収益となることにより、子供たちはアートを通じて危険な廃棄物処理作業から抜け出す術を体感する。「過酷な環境と終わりのない困難にさらされているにも関わらず、キラキラと輝く星を秘めている。世界はまだ彼らの持つ最大限の可能性を知る余地もありません。しかしチャンスを与えられたら、彼らの星が光る」と、MAGOは言う。
MAGOの作品は日本国内だけでなく、NY、香港、パリのギャラリーでも紹介されている。世界中の観客を巻き込み、アート活動によりもたらされた利益をサスティナブルでよりよい社会作りに還元するMAGOの次の目標は、2030年までにアグボグブロシーに最先端のリサイクル工場を建設し、危険なスラム街を公害ゼロのサスティナブルな街に変貌させること。
モノが溢れるこの時代、消費への意識が大きく変わってきている。所有し捨てる、それを続けることの虚しさを多くの人が感じている中、MAGOの提唱する「サスティナブル・キャピタリズム」から成り立つ、アートムーヴメントの新しい風が吹いている。
アートで世界を平和にする、MAGOの夢を追い続けたい。
Mago Gallery Paris / Valuence International Europe内
Adresse : 3 rue du Faubourg Saint-Honoré, 75008 Paris , FranceTEL : 06.1925.9635
URL : https://magogalleryglobal.com/paris/
paris@magogalleryglobal.com 月~金 9h-17h (土曜日は予約見学のみ)