L’aventure Champollion
Dans le secret des hiéroglyphes
ジャン=フランソワ・シャンポリオン(1790-1832)が、弱冠32歳で世界で初めてヒエログリフを解読したのは1822年のこと。解読200周年の今年、フランス各地で記念イベントが催される。国立図書館では、シャンポリオンがどうやって解読したかを中心に同館所蔵の資料やデッサンを展示している。
ナポレオンのエジプト遠征時に発見されたロゼッタストーンには、ヒエログリフ、同じエジプト文字でも草書体のデモティック (民衆文字)、ギリシャ文字が刻まれていた。シャンポリオンより12歳上の兄は図書館の司書で、発見後ヨーロッパの学術界に流布したロゼッタストーンの写しを入手していた。
兄とは仲がよく、かけがえのない協力者だった。
当時の教養だったラテン語、ギリシャ語はもちろん、11歳からヘブライ語、アラビア語、シリア語を学び、中国語の文法書も入手していたシャンポリオンは語学の天才で、解読の役に立つ言語的知識があった。複数の象形文字を合わせて特定の意味を表す文字を作るヒエログリフの構成は、漢字の構成に似ている。そんな漢字の知識も解読の助けになったのかもしれない。
人名は枠で囲まれているという仮定から、ギリシャ語で書かれた人名と比較すれば、枠内の文字の発音がわかることが手がかりの一つになった。(ヒエログリフでは高貴な人の名前を線で囲む。その楕円の形がカートリッジに似ていることから仏語でカルトゥーシュと呼ばれる)。ヒエログリフには表音文字もある。書く方向は、縦書きと、右から左、左から右の横書きがある。人や動物の頭が右を向いていれば左から右に、左を向いていれば右から左に読んでいく。
シャンポリオンは思春期にデッサンを学んだので、象形文字の模写はお手のものだった。19世紀の人は、科学者でも文学者でも玄人はだしのデッサンをするが、シャンポリオンもそうだった。
ロゼッタストーンの解読後、十年しか生きなかったが、その10年間で念願のエジプトに行き、ヒエログリフの文法書を書いたり、エジプト学を教えたりして、エジプト学の基礎を築いた。次々とヒエログリフ文書を解読し「古代エジプト文化は、古代ギリシャ文化より後世のもので、ギリシャより劣っている」という当時の偏見を修正させることに力を注いだ。
彼の集中力と情熱に触れるだけでも見に行く価値がある展覧会だ。(羽)
7月24日まで
BNF-François Mitterrand Galerie 2
Adresse : Quai François Mauriac, 75013 Parisアクセス : M°Bibliothèque François-Mitterrand
月祭休、火〜土 10h-19h、日13h-19h。9€/7€。