”Gilgamesh” – SPAC × Satoshi MIYAGI
3月24日(木)〜26日(日)、演出家・宮城聰氏と静岡県舞台芸術センター(SPAC)の『ギルガメシュ叙事詩』が、日本公演に先立ち、世界で初めてパリのケ・ブランリー美術館で上演される。
宮城氏のパリ公演は、同美術館のクロード・レヴィ=ストロース劇場開設記念公演の「マハーバーラタ」(2006年)、同美術館10周年記念の「因幡の白兎とナヴァホ」、奴隷貿易をテーマにしたレオノーラ・ミアノ原作の「顕れ」(2018年、コリーヌ劇場)以来。
ギルガメシュ叙事詩は、楔(くさび)文字で書かれた古代オリエントの文学作品だ。主人公は前2600年頃にメソポタミアに存在した都市国家ウルク*の王で、半神半人のギルガメシュである。英雄だが暴君でもあった彼を戒め、国に平和をもたらすために、神々は粘土から巨人エンキドゥを作った。
*ウルクは現在のイラク南東部サマーワ近くに位置する。
エンキドゥはウルクに行き、怪力の2人は格闘を始めたが、決着がつかず、互いの力を認め合って親友となった。安楽な生活に飽きたギルガメシュは、レバノン杉を伐採するため、気乗りしないエンキドゥを同行させ、森の守護神フンババを征伐しに行く。しかし、フンババを殺した罪で、エンキドゥは神々から死を宣告された。親友の死で悲嘆に暮れたギルガメシュは、不老不死を求めて旅に出た。
物語の前半では森を征服するギルガメシュとエンキドゥの物語が、後半ではギルガメシュの精神的な旅が語られる。宮城氏は、自然を征服した傲慢さを見せたギルガメシュが、後半で人間の限界を知る悟りの境地に至ったと説明する。そして、「自然を征服できるんだとか、地球をコントロールできるんだとか、そういう傲慢さを乗り越えてもう一度謙虚になることが、いまの人類に必要なことだとギルガメシュは伝えている」と、この物語の現代における意義を話している。
森の守護神フンババは、人形劇師・沢則行氏が作った大きなマリオネットが演じる。
宮城氏は、もともと口承文学であった古代文学の音楽性を重視したいと言う。「マハーバーラタ」や「因幡の白兎とナヴァホ」のように、この公演でも音楽が大きな魅力になりそうだ。(羽)
3/24日、25日:20h
3/26日 :18h(満席)
3/27日:14h30と17h
料金 : 20€/15€
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《ギルガメシュ叙事詩》
台本・演出:宮城聰(ラピス・ラズリ版「ギルガメシュ王の物語」月本昭男訳による)
音楽:棚川寛子
人形デザイン:沢則行
出演:阿部一徳、大高浩一、石井萠水、大内米治、片岡佐知子、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、舘野百代、本多麻紀、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮、渡辺敬彦/沢則行(操演)、桑原博之(操演)
美術デザイン:深沢襟照明デザイン:吉本有輝子衣裳デザイン:駒井友美子ヘアメイク:梶田キョウコ
Musée du quai Branly - Jacques Chirac
Adresse : 37 quai Branly, 75007 Paris , FranceTEL : 01 56 61 70 00
URL : https://www.quaibranly.fr/