Poitrine de porc laquée au miel
テレビの料理番組であまりにおいしそうだったので試してみた一品です。
豚の三枚肉poitrine de porcを1キロ、かたまりのままで買ってくる。骨付きなら肉屋に骨を切りはずしてもらう(骨付きのところは、肉を切り出して野菜炒めなどに加えましょう)。かたまりごと皮の方を上にしてココット鍋などに入れる。たっぷりと水を張り、皮をむいて切り分けたニンジンと玉ネギ、皮ごと押しつぶしたニンニク、タイム、ローリエを加え、塩、多めのコショウを加える。中火にかけ、沸騰してきたら丁寧にあくをとり、弱火にし、ふたをして少なくとも2時間半煮ていく。
肉のかたまりを網じゃくしなどを使って皿の上にとり出すのだが、よほど慎重にやっても肉が柔らかすぎてくずれたりする。そこで、煮汁の中ですっかり冷ましてからにしよう。なんなら前日に煮ておいてもいいのです。とり出した肉は皿ごと冷蔵庫に入れて3、4時間待つ。その肉を、よく切れる包丁を使って1.5~2センチの厚さに切り分ける。フライパンにオリーブ油をとって肉を重ならないように入れ、両面にきれいな焼き色をつけたらとり出す
フライパンの油を捨て、洗わずに中火にかけ、ハチミツを加える。タイムとかクリの花のハチミツのような味わいが深いものだったら文句なしだ。へらで肉のうまみを溶けこませるようにし、ぐつぐついってきたら、煮汁をお玉1杯半くらい加えて混ぜ合わせる。さらにレモン1個分のしぼり汁加え、丁寧に混ぜ合わせ、少々煮詰め、塩味を調えればソースのでき上がり。弱火にして肉を戻し、タイム少々を加え、はけでソースを肉に塗りつけていけば、美しいつやが出てくる。そのつや加減を見てもらいたいので、今回はイラストではなく例外的に写真で~す。
甘酸っぱいソースを吸った三枚肉がとろけるようで、豚の角煮(東坡肉)好きにはたまらない。付け合わせはマッシュポテト。赤ワインよりも、ベルギー産の、風味豊かなシメイやオルヴァルなどのトラピストビールにしたいところだ。(真)
4人分:豚の三枚肉1kg、ニンジン1本、玉ネギ1個、ニンニク2片、タイム適量、ローリエの葉1枚、ハチミツ大さじ2、3杯、レモン1個、オリーブ油、塩、コショウ
Poitrine de porc (lard maigre)
豚のあばらの肉(三枚肉)poitrine de porcは脂身が多く、豚肉の部位の中でも安い肉だが、キャベツやジャガイモといっしょにじっくりと煮込んでもうまい。豚肉の産地として知られるブルターニュ地方の朝市には、この三枚肉をかたまりのまま色よくローストしたものが売られていて、列ができる。ぼくらの豚肉屋には、毎日曜に農家産とうたった水っぽくない豚肉が並ぶ。三枚肉でもキロ13ユーロ以上するけれど、長時間煮込んでもかさが減らないので、結局のところ高くはないものだ。
Poitrine fumée
ベーコンpoitrine fuméeは、豚の三枚肉をくん製にしたもので、どこの肉屋にも置いてあり、好みの厚さに切ってくれる。ロレーヌ風キッシュに入れるときには、1センチくらいの厚さに切ってもらい、家で必要な量だけラルドン状に切る。ベーコンエッグなら必要な枚数だけ薄く切ってもらう。これをさらに二つに細く切り分け、種を抜いた干しプラムpruneauを包んで楊枝で止め、さっとオーブンで焼けば、パーティー用の素敵なおつまみになる。フランスでbacon(バコン)というと、ベーコンではなく豚のヒレ肉のくん製だ。
Miel
フランスで市販されているハチミツはバラエティーに富んでいる。単にハチミツと記されたものにはじまり、春、夏にとれたハチミツmiel de printemps、miel d’été、 AOP (原産地呼称保護)やIGP(地理的表示保護)のアルザス産miel d’Alsaceやプロヴァンス産miel de provenceなど。どの花からとられたものかで選ぶのも悪くない。軽い味がほしいならアカシアacaciaを、個性のあるものなら、エリカbruyèreやクリchâtaignier。旅先でその土地名産のハチミツを買うと、いいお土産になるだろう。