ピュイ・ド・ドームなどで、大気圧を証明する実験。
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【特集:ブレーズ・パスカル生誕400周年 クレルモンへパスカルを訪ねて。】
5回にわたって掲載します。
〈その1〉パスカルの精神的故郷、クレルモン。記念イヤーイベント。
〈その2〉〜人間は考える葦である〜『パンセ』とは?
〈その3〉パスカルの発明:元祖・計算機「パスカリーヌ」と、公共交通。
〈その4〉パスカルの大気圧実験、ジョード広場とピュイドドームの山頂で。
〈その5〉パスカルとジャンセニンスム
パリのポール・ロワイヤル図書館をたずねて
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パスカルは、ガリレオの弟子で物理学者トリチェリの水銀を使った真空と大気圧を証明した実験(1643年)のことを聞き、標高の違う場所でその実験をやることを思いついた。しかし、パリにいたパスカルは体調が悪かったため、義兄ペリエに1647年に実験の実施を頼んだ。
ペリエは翌48年9月にミニム教会の庭(現ジョード広場/標高350m)とピュイ・ド・ドーム山頂(標高1457m)で証人を連れて数回の実験を行った。上部が閉じられた長さ1mのガラス管に水銀を満たし、下部を水銀の入った受け鉢に浸けた。
ジョード広場での実験ではガラス管の水銀が71.2cmに下がったのに対し、山頂では62.7cmだった。これにより、広場のほうが山頂より大気圧が大きいために受け鉢の水銀に大きな圧力がかかり、ガラス管の水銀を押し上げて71.2cmになったことを証明し、『流体の平衡に関する大実験談』を執筆した。
当時は紀元前4世紀のアリストテレス以来の「自然は真空を嫌う(真空は存在しない)」という考えが強かったが、パスカルは水銀が下がった部分を真空とし、それを明確に否定した。
現在、山頂には気象観測所が建っている。観測される大気圧の単位にヘクトパスカル(hPa)* が使われている。
● ピュイ・ド・ドーム山頂への行き方
☞国鉄クレルモン=フェラン駅からピュイ・ド・ドーム登山電車の乗り場まではシャトルバスあり
(4〜10月。2023年は11/5まで毎日)1日6本、ほぼ2時間おきに出発。所要時間32分。
駅から出発すると、クレルモンの中心、パスカルの義兄ペリエが実験をしたジョード広場も通過してピュイ・ド・ドームへ行く。
☞登山電車 「Panoramique des Dômes」
往復料金:4/1〜9/30は17.90€、1/1〜3/31と10/1〜12/31は16.50€(子ども・家族料金あり)。山頂は気温が低いので上着要。
panoramiquedesdomes.fr