狩猟場面は好きではなかったが、「ドイツの狩猟場面」展を見て考えが一変した。素晴らしかった。こんな狩猟場面は見たことがない、1830年から1914年の、ロマン主義から近代までの絵画で、ほとんどがドイツの美術館の所蔵品。野生の動物たちの群れ、動物と狩猟家の場面から、人と動物、動物同士の間の会話が、映画の場面を見ているように聞こえてくる。動物の心理が伝わってくる。なぜか。コミッショナーで美術史家のジルベール・ティトゥさんに尋ねた。「狩猟場面を描いたフランスの画家たちと違い、ドイツの画家たちは狩猟家でもあったんです」。それで納得した。動物も狩猟のことも知り抜いている人たちが、体験を基に描いたのだ。角を絡み合わせて闘う2頭の鹿は、実際に見た人でないと描けない描き方、とティトウさん。雪の中で注意深く空気の匂いを嗅ぐウサギは超リアル。動物愛にあふれた人にも勧めたい。階下では19世紀の画家ライスキと、彼から影響を受けた現代作家バゼリッツの二人展。(羽)
Musée de la chasse et de la nature
Adresse : 62 rue des Archives, 75003 Paris2017年2月12日まで。 (月休)