Marianne Rosenstiehl : The Curse / La malédiction

Marianne Rosenstiehl, Les Anglais, 2009
Marianne Rosenstiehl, Les Anglais, 2009
 11月は写真月間なので写真展が多い。その中で、著名人の肖像写真で知られるマリアンヌ・ローゼンスティールが個人的な問題意識で撮った写真展を紹介したい。タイトルは「呪い、災い」。不吉なものを想像するが、実は女性には誰にも来る「生理」のこと。だが、このテーマはほとんど取り上げられることがない。理由は「タブーだから。ユダヤ・キリスト教、イスラム教で、生理中の女性は汚れたものと見なされてきた。料理も家族に触れることもダメ。その考えが何世代もに引き継がれている」とローゼンスティールは言う。
 数人の女性が長いスカートのすそを上げて、裸足で土の上を歩いている「ナメクジLes limaces」。月経血で害虫を殺すために生理中の女性を畑で歩かせるというフランスの農村の伝統に基づいている。「毒で毒を制する、ということです」。女性のお尻のそばに兵隊の人形が何体もいる「イギリス人Les Anglais」。フランスで「イギリス兵が来た」と言えば、生理が来たことを意味する。イギリス兵は赤い服を着ていたからだ。どの国にも「生理が来た」ことをはっきり言わないための表現がある。これも、生理がタブーであることの表れだ。  
 パリではサド展、ニキ・ド・サンファール展が開催中だ。サドは、エログロで人間の欲望を究極まで暴いて見せた。ニキには社会への憤怒がある。両者には暴力があるが、ニキはもちろん、サドも最早タブーではない。ローゼンスティールの作品は穏やかだが、彼女が扱うテーマはいまだにタブーだ。ニキ展、サド展と彼女の写真を見て、現代のタブーとは何かを考えされられる。
 更年期初期2年間の女性たちも撮った。「更年期も否定されがち。女性の美しさと生理の有無は関係ないことを感じてほしい」。撮影に2年かかった。モデルは見つかっても、伴侶が「彼女を更年期の女性とみられたくない」と拒否することが多かったのだという。そういう男性たちもぜひ見に行ってほしい。(羽)
Galerie Le Petit Espace : 15 rue Bouchardon 10e
11月5日〜12月6日迄 水・土 14h-19h
11月8日 11h-19h : 更年期プロジェクトに参加できる
更年期初期2年間の女性を対象にポートレートを撮影。予約制。lepetitespace@gmail.com 06.0967.1674