第12回サンドニ市映画祭〈Est-ce ainsi que les hommes vivent?〉
2月最初の一週間、映画好きなら通いつめたい映画祭〈Est-ce ainsi..?〉がサンドニ市で開催。「アラブの春」から1年、今年のテーマは「Révolutions(革命)」だ。上映作品66本は、全て一回上映だからお見逃しなきよう。プログラムを担当したオリヴィエ・ピエールさんに話を聞いた。
この映画祭は、豊かな映画の歴史を介して、社会や政治の問題に近づきたいと願っている。作品の質は上映の絶対条件だけれど、多様さも心がけた。『Fragments d’une révolution』は、不正選挙に怒った無名イラン人市民たちが携帯電話で撮影した作品。アニメやウエスタンだってあるし、グリフィスの無声映画『Les Deux Orphelines 嵐の孤児』は10歳位から見られるシネ・コンサート。
ゲストも豪華。社会への厳しい批評眼で作品を発表し続けるフェルナンド・E・ソラナスは、名誉招待としてアルゼンチンから飛来。彼のマスタークラスや4時間半の傑作『L’heure des brasiers』は必見。オリヴィエ・アサイヤスは5時間半のTV版『カルロス』を紹介する。ウイリアム・クラインは僕たちの映画祭が気に入り、もう三度目の参加だ。日本の足立正生にも招待状を送ったが、出国禁止で来られなかった。でも彼の作品『幽閉者(テロリスト)』と、フランス人監督フィリップ・グランドリューによる彼についてのドキュメンタリーを上映するよ。
また、歴史学者とジャーナリストの対談本『Le 89 arabe』を柱に、現代の革命を過去の歴史からひもとく討論会や、シリア人監督アラ・アラブダラによる「アラブの春」についての映像と朗読の詩的パフォーマンス『Notre Liberté』など、目玉企画も充実している。
サンドニ市は治安が悪いという印象があるけど、多様な人種が共存し文化意識も高い地区。パリからメトロで15分、駅を降りたら映画館は目の前。ぜひ町の別の姿も発見してほしい。(聞き手/瑞)
●2月1日から7日まで。6€/4回券16€。
CINÉMA L’ÉCRAN : Place du Caquet
93200 Saint-Denis
M⑬Basilique de Saint-Denis
lecranstdenis.org/revolutions/
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