『火垂るの墓』の作者として著名なアニメ界の重鎮、高畑勲監督が、秋の深まる11月のパリに来仏。未公開作品上映が中心のフォーラムデジマージュ国際 “出会い” 映画祭と、質の高い子供向け作品選出で名高い、パリ近郊のオーベルヴィリエ映画祭に参加した。国際出会い映画祭では自作『おもひでぽろぽろ』の上映を始め、監督が選ぶ世界の短編作品の上映を開催。オーベルヴィリエでは、伝説の作品『太陽の王子/ホルスの大冒険』や人間界を皮肉る『平成狸合戦ぽんぽこ』など、パリではなかなか観られない代表作の上映で賑わった。期間中はタイトなスケジュールも余裕でこなしていた監督。還暦をとっくに過ぎているはずなのに、髪は真っ黒、肌はつやつやという姿に、関係者の間では「息子さんが来たのでは?」と噂がたったほど。さすがに夢を紡ぐ“永遠の青年”。取材の合間にはフランス語習得にも余念がなかったとか。
今回オーベルヴィリエ映画祭では、フォーラムデジマージュに負けない「出会い」があった。今年の夏、アティス・モンス市の小学校で知的障害を持つ子も含めた1クラスが、高畑監督作品『セロ弾きのゴーシュ』の映画ポスターを制作し、手紙とともに日本の監督のもとに送っていた。そして半年後の映画祭当日、子供たちからのラブコールが叶い監督との対面が実現。監督は子供たちを前にあらためてポスターを「トレビヤン!」と絶賛した。その後は皆で『パンダ・コパンダ』を鑑賞。監督との出会いに興奮気味の子供たちは「ムッシュ・タカハター!」と質問と声援を送り続けていた。(瑞)