Epinards à la crême
編集部でフランスのホウレン草料理について話が弾んだ。「あれだけグチャグチャになるまで煮てしまうのは、センスがない」「あれは付け合わせというよりはソースの一種」 「ホウレン草と思わなければ我慢できる」などと評判がよくない。ちょっと注意さえすれば、彩りも香りも春先らしい付け合わせになるのになあ。
ホウレン草は4人分として1200グラム(キロ10フランちょっと)買ってくる。すごい量に見えるけれど、塩茹ですると「えっ、これっぽっち」という感じ。泥が付いているので、丁寧に水洗いをしてから、柄をとる。大きな鍋にたっぷりお湯を沸騰させ、塩を大サジ2杯ほど加え、フタをしないで8分茹でる。これをザルにとり、素早く流し水で冷ませば、葉緑素が定着して彩りがよくなる。手で水気をよく絞り、まな板の上で、できるだけ細かくみじん切り。
つぎはベシャメルソース作り。まず牛乳250ccを温めておく。鍋あるいはフライパンにバターを大サジ山盛り1杯とり火にかける。バターが溶けたら同量の小麦粉を加えてよく混ぜ合わせ、しばらく火を通す。火が強いとすぐに色が変わるので注意したい。ここで火から下ろし、牛乳を少しずつ混ぜ入れ、もう一度火にかけ直し、グツグツといったら白くなめらかなベシャメルソースのでき上がり。
ソトゥーズや厚鍋にバターを大サジ2杯とり、熱くなったら用意しておいたホウレン草を加える。しばらく炒めたら、ベシャメルソースを混ぜ込む。塩、コショウ、砂糖小サジ半杯、そしておろしたナツメグ少々を加えれば完成です。早めに作って温めなおしたり、弱火にかけたままにしておくと、色が悪くなるので、タイミングを考えて作ることが肝心だ。好みでは食卓で生クリームをかけてさらにコクのある風味を楽しんでもいい。
魚やトリのソテー、ローストポーク、オムレツなどの料理によく合う。
● 材料(4人分) : ホウレン草1200グラム、バター60グラム、小麦粉20グラム、牛乳250cc、塩、コショウ、ナツメグ少々、生クリーム。
(実)
対決!ヨーグルト●Vrai vs La laitière
日本ではもっぱら腸の働きを助けるとして親しまれているヨーグルトだけれど、フランスでは手っ取り早い栄養源として絶対的な信用を得ている。とにかくヨーグルトを食べていればぶっ倒れる心配はないというわけだ。フレーバーも多種多様で、コカコーラ味まで登場したらしいが、私はまだ食べたことがない。
今回はビンの容器に入ったヨーグルトのバニラ味です。NestleのLa Laitière(4つで7.75F) はフェルメールのお馴染みの絵でダントツの人気。Vrai (2つで8.95F) の方は無農薬の牧草を食べた牛のミルクと有機栽培の砂糖などを原料にしているのが売り。前者がねっとりとして少し糊っぽいのに比べて、後者はスッと舌の上で溶ける。バニラの香りにしても甘みにしてもVraiの方が自然な風味で嫌味がない。ただし両方ともとても微妙な味の違いなので、倍以上の値段の差を考慮に入れると、前者でも十分美味しい。結果はLa laitièreの勝ちとします。(章)*値段はいずれもモノプリ調べ。
料理の本
●Marie-Française Valery / Les Epices
スパイスを上手に使うことが、料理のコツ。それならスパイスをちょっと勉強したい、という時に開きたい一冊だ。
それぞれのスパイスの歴史や逸話、香りや味の特徴、使い方など、写真、図入りでわかりやすく書かれている。どんな草木のどの部分か一目でわかるのもうれしい。クミンを使ったインド人の飲み物、オレンジ一面にクローブを刺してクリスマスに贈る風習、18世紀にフランス植民地の島々でナツメグの栽培などを奨励したピエール・ポワーヴル…。巻末にはスパイスならここ、というパリのお店のリストもあって便利。ひとつ残念なのは、掲載されているレシピの数の少ないこと。
*Editions du Chene 99F