Quiche au chèvre
春になって子ヤギが生まれ、ヤギ乳をしぼることができるようになる。牧草地の春の草花を食べているのだから、その乳から作られるチーズがおいしいのも当然だ。そんなヤギ乳チーズを入れたキッシュを作ってみよう。
熟成の浅い、柔らかな風味のクロタン・ド・シャヴィニョルを2個買ってきた(1個60グラム)。まだ温室育ちやスペイン産かもしれないけれど、クルジェットとプチトマトを組み合わせてみた。
パイ生地pâte briséeは市販品より厚めにしたいので、自家製だ。バターをさいの目に切って30分ほど室温に置いておく。大きめのボウルに小麦粉をとり、塩少々を加えて混ぜ合わせる。柔らかくなったバターを散らし、指先で粉と混ぜ合わせ、そぼろ状になったら水を加える。しなやかになって指にくっつかなくなるまでこね合わせ、玉にし、ラップで包んで1時間半ほど寝かせたい。
クルジェットは5ミリの厚さに輪切りにする。フライパンにオリーブ油をとって中火にかけ、クルジェットを加え、エルブ・ド・プロヴァンスを振りかけ、混ぜ合わせつつ8分から10分ほど炒め、塩、コショウ。トマトは二つに切り分ける。
ボウルに卵と生クリームを入れ、泡立て器を使って均一になるまで混ぜ合わせ、塩、コショウ。さらにさいの目に切ったヤギ乳チーズを混ぜ入れる。このへんでオーブンの目盛りを200度に合わせて点火しておく。
パイ生地を3ミリちょっとの厚さに伸ばし、バターを塗った直径26~28センチの型におさめたら、型からはみ出た分を切りとる。底をまんべんなくフォークでつっついて、チーズのミックスを入れ、その上にクルジェットを敷く。さらにトマトを切り口が上になるように並べ、エマンタルチーズを振りかけ、熱くなっているオーブンへ入れる。
最初は生地の底がよく焼けるように下段に入れ、20分たったらオーブンの温度を180度に下げ、今度は中段に入れる。さらに15分から20分ほど焼けば、クルジェットやトマトにきれいな焼き色がつくだろう。グリーンサラダを添えるといい。(真)
ヤギ乳チーズ Crottin de Chavignol 100gほど、クルジェットは大きさ次第で2、3本、プチトマトtomate coctail 6個、卵4個、乳脂肪分30%の液状生クリーム300cc、おろしたエマンタルチーズ一つかみ、オリーブ油、エルブ・ド・プロヴァンス少々、塩、コショウ。
パイ生地:小麦粉250g、バター125g、水大さじ5杯。
Fromages de chèvre
ヤギ乳チーズぎらいの人は、フレッシュチーズ fromage frais から入門。その柔らかな身に、きざんだシブレット、コショウ、塩少々を混ぜ入れ、オリーブ油少々をかければ、季節感あふれるアントレだ。3週間以上熟成されると、ヤギ乳チーズならではの軽い酸味を持った独特な味わいになってくる。サント・モール Sainte-Maure やヴァランセValençay などは、カビの発生をたすけるための木炭粉でおおわれていて、白い身とのコントラストが美しい。ワインは、軽くフルーティーな、トゥレーヌ地方のガメー種の赤などが合うだろう。
Appareil
「器具」などを意味するappareilは、料理用語では、ケーキやキッシュなどに入る、卵、牛乳、生クリーム、小麦粉、スパイスなどを混ぜ合わせたもののこと。appareil à souffléならスフレ用、 appareil à crème caramelならカスタードプリン用。キッシュの卵と生クリームの割合だが、わが家では卵4個に液状生クリーム300ccということになっている。生クリームはこれより多少増やしてもいいのだが、焼き上がりが柔らかめになる。生クリームは乳脂肪分が多いほうが、まろやかな味わいに。