フランス人は昼ごはんをたっぷりとることもあって、夕食は野菜のスープですますことが多い。消化にいいし、ビタミンAやB、ミネラル分や繊維質にも富んでいるし、ぼくも、とくに寒くなってくるとついついスープをつくってしまう。
野菜を柔らかく煮てミキサーにかける
ジャガイモと長ネギだけでつくるスープpotage parmentierは、シンプルなだけに飽きがこない。フランスならではの太い長ネギの柔らかな甘さがうれしい。
ぼくが週に一度はつくる野菜のスープは、たとえば、ジャガイモ2、3個、ニンジン1、2本、クルジェット1本(皮ごと)、カブ1、2個、どれも小さめのさいの目に切って大きめの鍋に入れる。みじんに切った玉ネギ1個も加え、チキンのブイヨンを1リットル注ぐ(水1リットルあたりインスタントのキューブ1個)。ふたをして中火にかけ、沸騰したら弱火にし、30分ちょっとで野菜はすっかり柔らかくなっているだろう。少し冷ましてから、ハンドミキサーでなめらかなクリーム状にする。ドロリとしすぎているようなら、水やブイヨンを足し、塩、コショウで味を調える。中火に戻して温め直し、熱々をふーふーいいながらすする幸せ!きざんだパセリを添える。このスープの後に、チーズの盛り合わせを出したりすれば、立派な夕食だ。
スープにも季節感
冬はボリュームたっぷりの農家風スープがいい。缶詰1個分の赤インゲンは流し水で洗ってぬめりけをとり、水気を切っておく。ジャガイモ3個は四つに切り分け、ニンジン2本は7ミリほどの厚さに斜に切り、カリフラワーは大きめに切り分け、モルトーソーセージは、2センチの厚さに輪切り。大きめの鍋に野菜を全部入れ、チキンのブイヨン1リットル半を注ぐ。ソーセージから塩気が出るので、塩は入れず、多めにコショウ。ふたをしてニンジンが柔らかくなるまでまで煮たら、赤インゲンとソーセージを入れ、もう10分ほど火を通し、必要なら軽く塩をする。マスタードを添えます。
春になったら、グリーンアスパラガスでぜいたくなスープ。アスパラはいつものごとく下準備し(こちらを参照)、小さく切り分ける。玉ネギ2個はみじん切り、ジャガイモ2、3個はさいの目に切る。チキンのブイヨン1リットルを鍋にとって火にかけ、沸騰したら、アスパラガス、玉ネギ、ジャガイモを加え、25分ほど火を通す。ハンドミキサーにかけて塩味を調え、ポマード状の生クリームをたっぷり混ぜ入れれば、ちょっと忘れられないうまさです。
夏は冷たいガスパッチョに人気があるが、市販品もなかなかの風味なので、大いに利用することにしよう。レモンのしぼり汁少々やタバスコ少々、あるいはきざんだバジリコの葉を混ぜ入れたりして「自家製さ」とうそぶくことにしたい。秋のスープの定番といえば、カボチャのスープだろう。カレー粉少々を加えてカボチャの甘みにアクセントをつけるといい。
キノコもふくめて、ほとんどすべての野菜がスープにつかえるので、いろんな組み合わせを工夫しましょう。(真)
Bouillon、soupe、potage
「スープ」といっても、大きく分けて三つの種類がある。ブイヨンbouillonは、肉や鶏ガラ、あるいは野菜のうまみを引き出したお澄ましだ。スープsoupeは、どちらかというとあまり手のかかっていないシンプルなもので、野菜や肉を切ったものがそのまま入っていたりする。ポタージュpotage (crème、veloutéともいう)は、もう少し手がかかっていて、なめらかなクリーム状に仕上げられたものだ。
Velouté de moules
ムール貝1キロのひげをとり、洗って水気を切る。底広鍋に白ワインと水をそれぞれ300cc入れ、沸騰したらムール貝を加える。フタをして強火。貝が開いたら穴じゃくしécumoireでとり出す。この作業、1キロの貝だと3回くらいに分けてやる。ムール貝はむき身にし、煮汁は細かな目のこし器でこす。深めの鍋に煮汁を入れる。この煮汁に、さいの目に切ったジャガイモ2個小口切りにした長ネギ1本の白いところ、押しつぶしたニンニク1片、ブーケ・ガルニも入れる。弱火でことこと30分。ブーケ・ガルニをとり出し、ムール貝のむき身の4分の3を加え、ミキサーでなめらかなクリーム状にする。残りのムール貝を加え、液状生クリーム250ccを加え、熱々になったらでき上がりだ。
Bouillon cube
スープをつくるときに、鶏ガラからとったブイヨンやポトフのブイヨンがあったりしたらベストだが、いつもあるとは限らないので、インスタントのチキンや野菜のブイヨンキューブの世話になることにしよう。1ℓの水にキューブ1個を溶かすというのが目安です。すでに塩味がついているので、塩は最後に味見をしてみて、必要だったら加えるということが大切だ。